臼杵の家、地鎮祭

 

 
 
大分県臼杵市で設計した住宅とカフェの地鎮祭が行われました。
雲ひとつない快晴のもと、工事の安全を祈願しました。
 
 
 
 
 
 
家の四隅にあたる箇所を清める神主さん。
こちらでは清めの塩と米を一緒にまかれていました。
時代が変わっても古式の装束で行われる儀式には
独特の厳かな雰囲気が漂います。
 
 
 
 
 

雑草が刈り取られた敷地
 
昨年の夏からスタートした設計は一年を迎え
建主の思いの詰まった中身の濃いデザインになっています。
 
臼杵の歴史が息づくこの場所に新たな拠り所となるべく
これから工事が始まります。
 
 

室積の家、1年検査

 
昨年完成した室積の家にて1年検査を行いました。
 
モルタルと板壁を幾何学的に構成した外観は
1年分の経過で少しずつ表情が変化してきました。
 
 
 
 
 
 
モルタルの壁は雨風にさらされ
フラットな大きな壁に濃淡の模様が定着しつつあります。
 
 
 
 
 
 
板壁のほうも庇のある部分とない部分で色の変化が出始めています。
 
建物は丁寧に扱えば100年以上使うことができます。
当然、その間に色合いや質感は変化していきます。
 
人間が年をとるとともに深みを増していくように
建物も自然の営みに従ってありのままに表情を変え
深みを増していけることを願っています。
 
 
 
 
 
 
2階のキッチン
スチールフレームのキッチンカウンターと構造用合板の棚だけの
むき出しのローコストキッチンですが
暮らす人の個性が加わることで暮らしのリアリティが豊かに現れています。
 
今回、暮らしの中での気づきや使い勝手をお聞きして
木製の玄関引戸への戸当たりの取付や庇の雨だれ処理など
いくつかの調整を行うことになりました。
 
建主のお話をお聞きしなら
1年の経過の中で暮らす人と家が少しずつ溶け合って
暮らしのかたちが定着し始めていることを実感できました。
 
 
 

ヘリテージマネージャー講座、長門編の1

先週の土曜日に行われたHM講座、
今回は長門市の日置地区の旧家と湯本温泉のエリアリノベーションを視察。
 
午前中は日置地区の旧家を視察、
大正末期に建てられた建物でかなり古いですが、
そこに刻まれたデザインや仕事ぶりから
当時つくった人たちの意気込みを感じ取っていきます。
 
まず最初に見学したのは江戸時代から呉服屋を営んでいた中野家本店の別荘。
敷地には事務所、別宅、離れの浴室の3棟が残っています。
写真は道沿いに建つ洋館の事務所です。
 
 
 
 
道に対し、45度に隅切りされた入口部分。
入口上部には一際目を引く丸い庇が突き出しています。
 
丸い庇の幕板部分には同じく円形の装飾がはめ込まれ
日本建築にはなかった新しいデザイン要素が積極的に使われています。
 
 
 
 
 
 
モールディングの窓枠に縦長の窓。
ちなみに窓枠のモールディングは石ではなく、木を加工して作られています。
窓の桟割りも複雑で、かなり練りこんでデザインされたことが感じられます。
 
 
 
 
 
屋根下には稲妻型の軒蛇腹もつけられ
入口の丸いの庇と対をなすデザインとなっています。
 
これら外観の意匠を見るだけでも
当時新たに入ってきた西洋の様式を積極的に取り入れようとした
デザインに対する意気込みが強く感じられます。
 
文化の中心でなかったこの地方にあって
突然現れたこの洋館は大正末期の当時としては
かなり斬新な風景として見えていたことでしょう。
 
 
 
 
 

一段落

 
寝室改造工事がひとまず完了
 
屋根のガラス瓦の部分は寝室の天窓、
外壁に開けた開口は小屋裏収納の突き出し窓です。
 
 
 
 
 
寝室の天井見上げ
 
暗室のように暗かった寝室は天井を取り払い
天窓によって、光に満ち溢れる空間に一新されました。
 
 
 
 
 
ベッドとクローゼットを仕切る衝立壁
ルイスポールセンのビンテージがユーモラスですが
夜になると下の写真のように間接の光だけがクローズアップされます。
 
 
 
 
 
ルイスポールセンの柔らかい光
 
 
 
 
 
白い室内とコントラストを成す柿渋の太鼓ふすま
和室との仕切りであり、南北に風を動かす通風の役目も担っています。
 
 
 
 
 
太鼓ふすまを開けると和室側の壁は火灯窓の形状に。
茶室の給仕口に着想を得た、高さ4尺(約1.2m)ほどの小さな開口、
表座敷と寝室の結界となるこの部分に建主のこだわりが詰まっています。