旭酒造の新な直売所、「獺祭ストア本蔵店」
以前、かわうそ亭という蕎麦屋で使われていた建屋を大幅にリノベーション、
設計は時の建築家、隈研吾氏です。
軒のデザインがポイントという隈さん、
入口は頭が当たらないギリギリの高さまで低く抑えています。
内部は淡い色合いの和紙に覆われたやわらかい空間
特注の照明も和紙でできているそうです。
極め付きは元の骨組みをすべて和紙で包んでいるところ。
長ほぞに鼻栓差しの凹凸まですべて和紙で包んでいます。
徹底して和紙の質感で統一されています。
川沿いの開口部の外には木の縦格子、そして屋根も同様の格子貼り
外観は隈さんの定番、スラットで構成されています。
今回、リノベーションされた建物はとても斬新かつ繊細、
モダンでかつ日本的な柔らかさを持っています。
惜しむらくは、
築100年以上建物の歴史が新しいデザインで漂白されてしまっているところ。
話題性とインパクトとしてのデザインとしては十分に応えていますが
デザインとしての持続性には限りがありそうです。
こちらは旭酒造の本社ビル
隈さんが言われる里山のイメージとはほど遠いものですが
世界戦略を勝ち抜くための駆け足の状態が今の風景です。
世界展開を成就した暁には、
「獺祭が作られているのはこんな風情のある場所なんだ」と共感できるような
里山として誇らしい場所となるよう、足元を固めて欲しいと願います。
2016.9.14