SANNAのS-HOUSEを見学してきました。
1997年の作品なので完成して20年近くが経ちますが
その表現性は今見ても先鋭です。
ローコストの二世帯住宅としてデザインされた住宅が
今年、S-HOUSE MUSEUMとしてリニューアル、
ミュージアムとして一般に公開されました。
中に入るとまず外周をめぐる吹抜けの回廊
細く背の高い空間には半透明の波板を通した光が注ぎます。
空間の出隅部分
構造上の柱がない、光があふれる浮遊する空間です。
2階部分はすべて開閉可能な建具、
スリット状に光が差し込みます。
1階の個室は一部屋に一人ずつ、アーティストの表現空間になっています。
和室には、南面の建具を床の間に見立てた作品が飾られています。
トイレもリアルな展示空間に!
1階のギャラリーを一通り見たところで2階のリビングへ
階高2.5mのため、2階がとても近く感じます。
2階のリビングもほぼ原形のままにとどめ、
そこにアート作品が同居しています。
住宅としてデザインされたS-HOUSE、
それがいかにしてミュージアムに生まれ変わったのか?
今回、館長の花房香さんからその経緯をお聞きすることができました。
花房さんが目指す「前方視的ミュージアム」
作品の一つ一つにはリアルな社会性があり、
小さいミュージアムながら、生き生きとした表現が感じられます。
住宅としてデザインされながらも
ニュートラルでかつ唯一無二の固有性のある空間は
ミュージアムとしても十分機能しています。
建築としての強度が時代を乗り越えていくことを
この建築は十二分に示しています。
リアルなアートと見事に溶け合って社会とともに進化を続ける、
このミュージアムの今後が楽しみです。
S-HOUSE MUSEUM
2016.9.27