徳山駅前に建設中の交流施設
上屋のフレームが立ち上がり、建築士会の構造見学会が行われました。
入口で迎えてくれたのは超大型のクレーン。
こんな巨大な重機は普通の現場ではなかなかお目にかかれない。
1階、駅前広場側の大型庇。
約6mの跳ね出しで、建物と広場を緩やかにつなぎます。
庇の鉄骨ディテール。
跳ね出し先端が分厚くなって不恰好にならないように、
ビルドH(工場オーダーで加工したH鋼)で支えています。
1階室内空間、
天井高3.85mの細長い空間は全面、まちに開き、
まちと一体感を生み出します。
ここには図書館とともにカフェが併設され、
市民の様々な活動に開かれていくことになるでしょう。
2階、駅前広場側のオープンデッキ。
駅前広場を見下ろす奥行き6mのこの場所は
とてもおおらかで気持ちのいい空間になりそうです。
3階のセットバック部分を受ける段違いの梁。
駅前広場側に向かって段々畑のようにセットバックするこの建物、
広場に与える圧迫感を和らげ、まちの縁側のようなスペースを提供しますが
その分、構造の難易度が高くなります。
セットバックで2階の柱と3階の柱(左から2番目の梁の位置)がずれるため、
補強のため複雑なフレームになっています。
3階柱の根元を受ける梁とその接合部。
普通以上に大きな力のかかる部分なので構造も複雑ですが
この接合部をずれることなく水平垂直に組み立てることの大変さが想像されます。
梁継手のディテール。
右脇にプレートの左右位置を合わせるための補助アングルが付いています。
とにかくサイズが大きく重たい部材に対し、
高い精度を出すための現場の工夫が見て取れます。
3階のオープンデッキからの見下ろし。
段々畑のように徐々にセットバックしているのがわかります。
3階から見た御幸通り、そしてまちと山並み。
新しくてきれいになる駅ビルにならい、
広場やまち並みが調和する居心地のよい場所になっていくことが望まれます。
今回の見学で、建物の設計に込められたまちへの思い、
現場でも苦労や工夫の跡を垣間見ることができました。
出来上がってしまえば、誰も気づくことのないこれらの苦労ですが
完成後は、この施設をいかに生かし、大切にしていくか
今度は我々市民の力が試されることになります。
駅ビルは11月に完成、来年2月にオープン予定です。
2017.2.16 設計事務所 TIME