大神の家2 造作工事

大神の家2では、内部の造作工事中。
断熱材の施工が終わり、空間の雰囲気が出てきました。
東側に大きく開いた窓からさんさんと朝日が降り注ぎます。
 
 
 
 
 
 
建物中央の吹抜けをはさんで
南側の子供室からロフトを見たところ。
 
空間としてはひとつながりながら吹抜けによって
ほどよい間合いと一体感が両立する空間です。
 
 
 
 
 
 
 
中央の吹抜けは3.5m×2m
面積的には4畳ほどですが、随分大きく感じます。
 
物質的には何もないですが
この家にとっては、とても大事な空間的な支柱となります。
 
 

チューケン本社ビル サイン工事

本社ビルの改装石田整形外科の工事などでお付合いのある建設会社で
本社のサインが破損したため、改めてサインを作り直すことになり
そのデザインを依頼されました。
 
写真(モンタージュ)はそのデザイン案です。
 
アルミルーバーによる水平ラインを意識した本社ビルに合わせ
高さを抑えた横長のステンレスプレートが浮遊するようなデザインです。
 
 
 
 
 
加工が終わり、現場に運び込まれたサイン
 
ステンレスプレートの長さは3.4m、厚さ12ミリの無垢板で
プレートの裏側に同じく12ミリのフラットバーの足が溶接されています。
 
このサイズの一枚板はなかなか在庫がなく、
溶接による歪みも出やすいため製作の難易度が高いということで
思いのほか細かい寸法調整などに苦労しましたが、
なんとか製作にこぎつけました。
 
ごまかしのきかないシンプルなデザインほど加工は難しいことを
今回の仕事で改めて実感しました。
 
ステンレス無垢板のサインは100㎏以上の重量があるため
ユニックで釣り上げてセットします。
 
 
 
 
 
基礎は元のサインのコンクリート基礎を再利用、
横長のプレートが地面から浮いているイメージを出すため
コンクリートをコア抜きし、サインの足を埋め込むだけで
余計な形を可能な限りそぎ落とし、目立たないようにします。
 
 
 
 
 
 
まず、コア抜きした部分に残る不要な鉄筋をガス切断
 
 
 
 
 
 
コア穴が整ったところでサイン本体を据え付け
 
 
 
 
 
 
レベルや傾きを慎重にチェックしながら調整
 
 
 
 
 
 
地面から浮かす高さを基礎の状況を見ながら設定
 
 
 
 
 
 
モルタルを充填して据付完了です。
 
サインの長さは車の進入路との関係で当初の案よりやや短くなり
プロポーションが少し変わっています。
 
それでも、後ろにある建物のルーバーと水平ラインが共鳴し
一体感のあるデザインになっています。
 
基礎のモルタルが完全に乾いたら養生シートをはがし
ロゴサインを貼って仕上がりです。
 
 

大神の家2 棟上げ

週末に大神の家2が棟上げしました。
晴天に恵まれ、大工さんの連携もよく順調に工事が進みました。
 
 
 
 
 
46坪ほどの敷地に建つ、建坪14坪の小粒な住宅です。
 
床面積25坪に4人(将来は5人以上?)の家族が暮らす
やや密度の高い家になります。
 
そのため、
東側の里山的な風景に開放して広がりを確保し
屋根形状を工夫して変化のある多様な場を生み出しています。
 
 
 
 
 
2階の室内
脚立の立っているところは1階と吹抜けで繋がっていて
家族の一体感とともに空間の広がりに貢献します。
 
基本的にはワンルームの空間ですが
仕切って小さな空間にも柔軟に変化できるようになっています。
 
また、屋根形状によって空間に高低差をつくり
普通よりも低くて小さな場所や逆に背の高いおおらかな場所など
大小の空間に高低差を掛け合わせた多様な場が用意されています。
 
それぞれの場所から視線が外の風景に広がったり
1階と2階で家族とつながったり、逆にひとりで籠もったりと
小さくとも家の中に様々な生活シーンが生まれることを想定した住まいです。
 
 

臼杵の家、外観

 
臼杵の家の外構工事が完了して
工務店(住想)が写真を送ってくれました。
 
手前にある地区の広場にゆるやかにつながる半開放性のある佇まいです。
 
 
 
 
 
 
ドローンを駆使した真上からの写真、
グーグルマップのようです。
 
 
 
 
 
 
 
木々はまだ植えたばかりで小さいですが
数年のうちに大きく育ち
家にも地域にも溶け込む心地よい風景をつくってくれることと思います。
 
 

棟上げ準備その他

大神の家2、現場では土台の敷き込みが行われました。
いよいよ今週末の棟上げの予定です。
 
 
 
 
 
玄関までのアプローチにつける庇のモックアップ
 
庇は跳ね出し長さが1mを超えるため、
強度やプロポーションなどを確認するために
工務店の倉庫で実物大のサンプルを作ってもらいました。
 
 
 
 
 
庇先端側から見たところ
30ミリ厚の杉材は根元側から徐々に絞り込んでスッキリ見せます。
 
 
 
 
 
庇は軽量化のため軒天の仕上げを省略し、
垂木や庇裏面の野地板を表しにします。
 
外壁のガルバリウム鋼板の色に合わせて、
垂木や野地板に塗る防腐塗料の色決めも行いました。
 
 
 
 
 
工務店の敷地内には、内装に使う杉板が積み上げられ
余分な水分を抜くため、隙間をあけて乾燥させていました。
 
今年の春から続いているウッドショックの影響で
木材価格が全般的に高止まりしています。
 
一方で、内装を板張りにしたいとの建主の希望もあり
できるだけコストを抑えるため、工務店と材料を探したところ
構造下地材として使う貫板(ぬきいた)の提案があり、サンプルをとって検討。
 
市販の仕上げ材に比べるとラフな感じはありますが
逆に木の小屋のような野趣あふれる面白みが出そうです。
 
しかも無垢材なので
木の香りも感じられ、断熱性、湿気の吸放湿性なども優れていて
構造用合板よりも価格が安く、案外メリットも多くあります。
最終的に建主にも確認し、この材料で進めることになりました。
 
 
 
 
 
 
貫板の表情
 
そもそも下地に使われるものなので
表面はざらついて節もあり、決してきれいな材料とは言えません。
 
正直、神経質な方にはお勧めしませんが
比較的おおらかなお客さんには十分に可能性のある材料だと思います。
 
特に、精度の高い工業製品があふれる今の時代にあっては、
素っぴんのように化粧っ気が抜けてざっくりした自然な質感が
人間にとってほどよい雰囲気を与えてくれそうな予感がします。
 
 
 
 
 
 
木口側から見たところ
 
自然素材ゆえに一枚一枚の表情が少しずつ違い、
それゆえに、これらが集合して大きな空間になった時
どのような味が出てくるのか、楽しみです。
 
 

宇部の家、床下調査

宇部の家の家揚げを行うため床下調査をしたところ
地盤の沈下が見られたため、詳細の調査を行いました。
 
 
 
 
 
床下の地面にはあちこちに地割れも見られます。
調査の結果、
地下1・2m付近に地下水のたまりやすい層があることがわかりました。
 
 
 
 
調査結果から地盤状況を確認しているところ。
 
 
 
 
 
 
計測器の調査結果をもとに
実際に金属の棒を差し込んで地盤の状況をチェック。
 
計測器のとおり、地下1.2m付近で湿り気のある土を確認。
地中の水分量の変化によって地面に地割れが発生しているようです。
 
耐震補強には、地盤の安定がなにより重要なため
改めて、地盤の改良などを追加で検討することになりました。
 
 
 

臼杵の家、外構工事

先週末、臼杵の家の外構工事の立会いに行ってきました。
いよいよ工事も最後の仕上げとなりました。
 
植木の植付けや飛び石の据付にあたり、
植木同士の間合いや樹木の向き、飛び石の細かい配置など
建主にも一箇所ごとにご確認いただき、配置を微調整し
位置が決まったところで、監督と職人さんに位置の調整など
一つ一つ対応していただきました。
 
 
 
 
 
元々敷地の縁石や井戸に使われていた地元産の凝灰岩があり
廃棄するのももったいないので、外構の飛び石などとして
アレンジしました。
 
凝灰岩の切石は、工業製品のような硬いメージとは違い
風化した石の表情がとても渋くて味わいがあります。
 
 
 
 
 
 
縁石は道路から建物中央の中庭へのアプローチとしてアレンジ。
 
一つ一つ形の違う石を単調かつ不自然にならないようデザインして
並べてもらいました。
 
 
 
 
 
こちらは新たな生活が始まったリビングです。
 
まだ仮の状態とのことですが
家具などのセンスがよく、十分に心地よい雰囲気が現れています。
 
 
 
 
 
リビング奥のたたみコーナーは
バイオリンを習っている息子さんの練習場所として
最適な場所になっているようです。
 
 
 
 
 
工事が行われている間、
ご主人が作られた酒粕チーズバスクケーキをいただきながら
カフェの家具などについて打合せを行いました。
 
 
 
 
 
工事は丸々一日かかりましたが
夕暮れ時に概ね主要な部分が仕上がりました。
 
冬を越し、来年の春の新緑や秋の紅葉など
樹木の成長とともに、風景が育っていくのが楽しみです。
 
 

大神の家2、工事開始

昨年から進めてきた設計と見積調整を経て、工事が始まりました。
川に沿う土地からは対岸の段々畑や緑へと視界が広がり
南の方角には新南陽のまちが遠望できるロケーションです。
 
 
 
 
 
 
 
底盤の配筋工事が終わり、瑕疵保険の検査が行われました。
 
 
 
 
立上り部分の主筋はフック付で、かぶり厚さも良好です。
 
 
 
 
 
一方、底盤の鉄筋はスペーサーが一部めり込んで
かぶり厚が不足していたため、修正を指示しました。
 
 
 
 
 
かぶり厚さを修正し、コンクリート打設。
引き続き、基礎立上り部分の工事が続きます。
 
 

何気ない風景@梅田

大阪駅前から望む早朝の梅田スカイビル
京都駅でも有名な原広司の設計です。
 
著作「機能から様相へ」で論じた均質空間へ対する批判的思考を
この巨大なビルにも表現しようと試みたことが
朝焼けの景色が写し込まれた姿から感じられます。
 
それでも、巨大なガラス張りの均質な壁という存在感はやはり強く
現代へ変化する過渡期の時代状況が伺えます。
 
 
 
 
 
 
ビルの足元まで近づいてみると、思わぬ風景が!
 
均質で硬質なビルのよそよそしさが
足元に群がる中低層のビル群によって見事にかき乱されています。
 
まるで、上手に仕上げられた絵画に子供が落書きをしたように
よそよそしさが無邪気な雰囲気に変わります。
 
美と醜の定義や境界については過去にも何度か触れてきましたが
その概念以上に、まちの体温のような部分でこの風景は興味深いです。
 
 
 
 
 
 
「落書き」つながりでもう一つ
梅田スカイビル界隈の路上に書かれた配管工事のための記号たち。
文字や線が入り乱れ、専門業者でなければ落書きにしか見えません。
 
現在、梅田北エリアで進んでいる大規模開発に伴う工事なのかもしれません。
 
美しいとはとても言えないこの風景はまちが進化する活力を表していますが
一方で、ラーメンの赤提灯などが一掃されて
よそよそしい風景に変わってしまうのだろうかと、ちょっと不安にもなります。
 
世の中は真新しいものやきれいごとだけでできているわけではありません。
美醜を超えて、時代時代の様々な歴史が重なっていたり
表通り以外に路地裏や横丁的な多様な場によって深い奥行きが生まれます。
 
巨大な開発がまちの体温までも奪ってしまうことにならないことを
願うばかりです。
 
 
 
 
 
工事中の仮囲いに看板が掲げられていました。
大阪駅前の貨物ヤード跡地を活用した9万平米あまりに及ぶ巨大開発です。
(詳しくはこちら https://umekita2.jp
 
オフィスやホテル、商業施設などに加え、
東京ドーム1個分の都市公園が大都市大阪のど真ん中に生まれる予定です。
 
看板の絵にあるような緑豊かな潤いのある場所ができると思うと
とてもワクワクします。
 
ただ、懸念がないわけでもありません。
日本の都市公園には管理する側の息苦しさが常に漂っていて
パリやニューヨークにある公園のような
人間味や自由でのびのびとした雰囲気が生まれにくいのが難点です。
 
願わくば
この都市公園が、管理されたよそよそしい場所ではなく
大阪らしい人間臭さを包み込めるような、寛容な場になることを期待します。