温泉とまちづくり、そして焼き鳥

長門市で開催されたJIA中国支部大会、
湯本温泉の活性化策を拝聴してきました。
 
手前にうっすらと見える白髪の紳士は名誉会長の出江寛氏、
カフェやライトアップなど新たに展開されるデザインに対し
京都のような陰翳や色気が必要や!と檄をとばされました。
 
 
 
 
 
夜は長門の名物、焼き鳥の店をハシゴ。
写真は老舗、こうもり。
 
長門はもともと養鶏が地場産業として根付き
焼き鳥の新鮮なネタがすぐに手に入るためか
小さな町にいくつもの焼き鳥屋が存在します。
そのどれもが低価格でかつおいしい!
子供からお年寄りまでが楽しめる、まさに長門のソウルフードです。
 
 
 
 
どれもとにかくウマいんですが、半熟に焼いたタマゴは逸品です!
 
まちづくりに話を戻すと、
湯本温泉では温泉街を流れる川と萩焼を軸に考えているそうですが
長門を語るなら新鮮な魚とこのやきとりも外せないでしょ!
 
偶然ご一緒した長門市まちづくり担当の元ラガーマンと
まちづくりからラグビー談義まで、とにかく盛り上がる長門の夜でした・・・
 
 

櫛ヶ浜の家、足場解体

足場が取れた道路側の外観。
 
着工から10ヶ月、家揚げや構造補強、屋根の葺き替えなど、
職人さんたちの数え切れないほどの奮闘がありましたが
再び、まちにその姿を現しました。
 
 
 
 
2階正面外観。
雨戸と板壁はまっさらな漆喰壁に化粧直しされ、
準防火地域の規制に従って防火窓に取り替えられています。
 
 
 
 
 
玄関の格子戸も取り付け完了しました。
アルミ製の既製品ですが、竪格子は古い建物との相性も良さそうです。
 
 
 
 
 
 
座敷部分から玄関側の見返し。
 
手前左に1枚ほど構造補強の壁が追加されましたが
その他は、できるだけ既存の間取りを残しています。
 
玄関から漏れてくる光によって、
建物に生気が蘇ってきたような感じがしてきました。
 
 

週末連載 台湾42

迪化街の中心に位置する永樂市場
その周囲には計画的に作られたオープンスペースがあります。
 
このスペースは周辺のまち並みと適度な間合いをつくり
永樂市場の歴史的外観をシンボライズすることにも貢献しています。
 
歴史的資産をしっかり生かして
現代の都市生活にゆとりと味わいを生み出すこの仕掛け、
とてもクールです。
 
 
 
 
米粉湯などの老舗が並ぶ南側には樹木とベンチが設えてあります。
 
美味しい店、広場、木陰、ベンチ
最強の組み合わせが都市の中に「幸せな空間」を生み出しています。
 
 
 

櫛ヶ浜の家、内外装工事

櫛ヶ浜の家、既存棟と増築棟のそれぞれに工事が進んでいます。
 
既存棟道路側の屋根、
破風を漆喰で塗り込んだ姿は改修前の意匠を引き継いでいます。
 
 
 
 
下野の屋根、水切り瓦の継ぎ目も改修前の姿に合わせ
ひとつひとつ漆喰で固めています。
 
 
 
 
玄関引戸のサッシュ枠がようやくはまりました。
 
準防火地域に対応した4枚引戸の防火窓はないのですが
町屋らしい間口広さを生かすため、防火袖壁とサッシュラインのセットバックで
延焼ラインをかわし、なんとか元の意匠と機能を両立しています。
 
 
 
 
 
既存棟から増築棟への渡り廊下。
 
ほの暗い既存棟から明るい空間へ
まるで100年ほどの時間をタイムスリップする気分です。
 
 
 
 
敷地両側に隣家が迫る密集市街地ですが
思いのほか、光が差し込む明るいリビングになっています。
 
 
 
 
 
天窓付きのキッチンも明るく、窮屈さを感じさせません。
 
 
 
 
増築棟西側外観。
増築棟はダークブラウンの波板張り。
その奥には既存棟の2階屋根が垣間見えています。
 
完成までもう一息、残工事が進んでいます。
 

内田さん、大津島の魅力語る

コミュニティFM、渋谷のラジオ
月曜放送の代官山アートストリートに内田鋼一さんが登場、
番組後半で大津島のプロジェクトについて触れています。(視聴はこちらから)
 
潜在力を秘めた大津島の魅力を内田さんの審美眼で語ってくれました。
今後の展開が楽しみです!
 
 

生野屋の家、地盤調査

生野屋の家の敷地にて地盤調査を行いました。
 
もともと畑地で道路際には2m近くの擁壁もあり、
地盤の状態によっては地盤改良の可能性もありますが、
まずは調査結果を見極めます。
 
広々とした畑地に建つ小さな平屋の家、
11月後半の着工を目指しています。
 
 
 

駅ビル工事現場見学3

           

8月に続いて行われた、駅ビル(周南市駅前図書館)の現場見学、
工事終盤を迎えた現場の状況をレポートします。
 
まずは、駅前広場とダイレクトにつながる1階部分。
一面、県産杉材による高い天井に黄色いボックスがアクセントカラーになっています。
 
 
 
 
1階は写真手前が物販スペース、奥にスターバックスが入り
駅前広場とダイレクトにつながります。
 
 
 
 
スターバックスのカウンター部分も形ができてきました。
今までまちなかになかった若者の集える溜まり場が生まれることになります。
 
 
 
 
2階への階段とエスカレーター。
側面の壁は全面本棚になるそうです。
 
 
 
 
2階の図書室の書架スペース。
書架は蔦屋カラーのダークブラウンで統一されています。
本棚が入って空間のイメージがかなりできあがってきました。
 
 
 
 
駅前広場に向けて部分的に書架が切り取られ、
外への広がりも意識されています。
 
 
 
 
写真奥は南北自由通路につながる出入口。
 
ここで電車待ちをしながらひと時を過ごしたり
電車で来た人が直接図書館に流れ込んできたりと
流動的で活気のあるまちの風景が想像されます。
 
 
 
 
 
2階、駅前広場側のオープンデッキ。
床は人工木材のデッキ材で仕上げられます。
 
今までのまちなかにはなかった、
空に開いた開放感のあるゆったりとしたスペースです。
 
 
 
 
南北自由通路を抜けた先の駅前風景。
ツリー祭りの際には絶好のビューポイントになりそうです。
 
きれいになる駅ビルを見習って、
駅前のまち並みもグレートアップされることを願います。
 
 
 
 
3階の会議室と図書室スペース。
ここまで上がってくると駅前広場への開放感がより感じられます。
 
ここでの活動は、外からガラス越しに見えることになり
図書館の活動がそのまま、まちのにぎわいを演出することになります。
 
 
 
 
3階の図書室には駅の新幹線側に窓が開いて
とても気持ちのいい場所になっています。
 
 
 
 
駅ビル外観夕景。
外部の手すりには1.8mピッチで照明が仕込まれて
完成すると美しいイルミネーションで駅前を彩ってくれるそうです。
 
本工事の完了までもう一息、オープンは来年2月3日です。
長年停滞が続いてきた周南のまちにとって
待望の、そしてとても貴重な「市民の居場所」が生まれます。
 
 
 

週末連載 台湾41

迪化街の目抜き通り
整然とした低層のまち並みは日本統治時代に整備されたもの。
 
賑やかな色の袖看板が今も変わらぬ活気を物語りますが
1970年代の道路拡張計画で消滅する危機もあったといいます。
 
それに対し、台湾大学の教授や市民団体が反対運動を展開、
容積率の移転という台湾初の裏ワザによってこのまち並みの保存に成功。
まさに知性と感性の勝利です!
 
 
 
 
 
建物の足元部分は以前にも触れた亭子脚が連続して
商業空間の賑わいに貢献しています。
 
 
 
 
 
石づくりの西洋建築をモルタルやタイルで読み直したファサードは
文化の混交の奥深さを今に伝えています。
 
 
 

 
 
 
 

夏の高野山12

福智院にある重森三玲作の三つの庭、
こちらは本尊、愛染明王の名を冠した愛染庭。
 
山門から本堂へ貫かれたまっすぐな軸線、
右にサツキの刈り込みと石組、左に幾何学的な縁取りと砂紋のコンポジションで
伝統とモダンが対峙しています。
 
 
 
 
幾何学的なグリッドには3色の砂が配されて区割りされつつ
砂紋の流れが連続する二層構造です。
 
 
 
中央広間に面した登仙庭
 
奥に蓬莱山、手前の池泉に鶴島亀島を配した伝統的な構成ながら
うねる曲線は重森独自の大胆な表情。
 
 
 
ちなみに今回、庭奥に見える部屋に宿泊、
1日を通してこの庭とともに過ごす至福の時間を堪能。
 
 
 
手前の鶴島、サツキの刈り込み、そして奥に杉林。
近景、中景、遠景の基本構成にも独自の表現が迷いなく表現されています。
 
 
 
 
 
四方を客殿に囲われた蓬莱遊仙庭
 白砂と赤砂の二色による大波の激しい表情と石組の構成
 
 
 
 
まるで二つの波が激しくぶつかり合う様を見ているようです。
感情の起伏、意思の強度がダイレクトに伝わってきます。
 
 
 
 
 
もはや美醜の境さえも超えた感のある表現。
 
 
永遠のモダンを探求した重森三玲の庭、
伝統に対する攻守の葛藤から生まれる創造性が大きな勇気を与えてくれました。
 
 

週末連載 台湾40

真っ赤な丸提灯とアールデコ様式のビル
 
迪化街にやってきました。
このまちの歴史は古く、19世紀の清朝時代に貿易のための商店や問屋街が開かれ
日本統治時代、戦後の中国統治を経て、現在は観光地としても賑わいを見せています。
 
その繁栄の歴史は、必ずしも直線的なものではなく
中国や日本、日本を経由して移入された西洋の文化などが
まるで積層したケーキの断面のような風景として見えてきます。