宇部の家 食器棚工事

宇部の家の食器棚と食洗機の改修工事を行いました。
既存の食器棚はパナソニックの既製品で、上部の吊戸棚を残し
食洗機(中段)と収納棚(下段)を解体撤去して
この部分に新たな食器棚と食洗機を組み込みます。
 
 
 
 
 
食洗機と収納棚を解体したところ
この空いたスペースの寸法に合わせて製作した家具をはめていきます。
 
 
 
 
 
 
中段部分に食器棚を取付け
 
工場製作の既製品と家具屋さんの製作する家具には
微妙な寸法の違いや既存家具の歪みなどがあるので
それをあらかじめ考慮して、ズレや隙間が出ないように
調整しながら取付けしていきます。
 
 
 
 
 
 
中段の食器棚の取付け完了。
下段は食洗機をはめ込むスペースを残して
左の配管スペースに脱着式の目隠しパネルを取付けています。
 
家具の色合いについてもできるだけ既存家具と違和感が出ないよう
何度も色見本をつくってもらい、確認を行いました。
塗装屋さんの苦労の甲斐あって、違和感なく調和してくれたので
まずは一安心です。
 
後日、ミーレの業者による食洗機の設置を行い、工事完了となります。
 
 

宇部の家 食器棚改修

 

宇部の家の改修工事がいよいよ動き出しました。
先行工事として、キッチンの食器棚を改修し
ミーレの食洗機を新たに組み込みます。
 
写真は食器棚の扉部分
右側は改修する食器棚の扉、左側は食洗機の化粧パネル
 
 
 
 
 
 
食器棚の扉の引手加工
既存の食器棚に合わせて、框を彫込んでスッキリ見せています。
 
 

古民家の実測調査

 

赤褐色の石州瓦が印象的な山間いの古民家
 
右手前に長屋門、左奥に大屋根の主屋が建ち
後方の山を背にした風格ある佇まいです。
 
家主さんのお話では築200年ほどの歴史ある旧家とのことで
今回、建築士会新南陽市部の事業として実測調査を行いました。
 
 
 
 
 
 
正面左脇から見たところ
敷地いっぱいに設けられた石垣と板塀も景観の重要な要素になっています。
 
 
 
 
 
 
南東方向に大きく開口部が設けられた主屋の座敷
 
間口いっぱいの庭とその先の山間の風景に面した座敷は
古民家ならではの風情と開放感のある心地よい空間です。
 
 
 
 
 
 
座敷部分の実測を行っているところ
二間続きの座敷全体で全長や柱間、開口寸法などをチェック。
 
その他の部屋も同様に
一部屋ごとに寸法を測り図面に起こしていきます。
 
地域の歴史としても貴重な民家なので
当時の建築様式とともに資料にまとめることで
今後の保存や活用などに生かすためのデータベースを作成します。
 
 
 

トルコ・シリア大地震と日本の現状

先日起こったトルコとシリアの国境沿いでの地震では
亡くなった方が4万人を超えるなど、大きな被害が出ています。
 
NHKのニュースでは、被害が拡大した理由として建物の耐震性とともに
この地域が「地震の空白域」であったことが報じられていました。
 
もともとプレートの境目があるこの地域で
巨大地震が発生したのは500年前以来となるそうです。
 
空白域では、長期にわたりエネルギーが蓄積されるため
巨大地震が起こる可能性が高くなることが以前から指摘されていたそうです。
 
しかし、残念ながら地震対策が十分になされていなかったことが
被害の拡大につながったと考えられます。
 
日本もトルコと同様の地震大国ですが
その日本で地震の切迫度が高まっている活断層が31ヶ所あることが
政府の地震調査研究推進本部から発表されました。
 
 
NHK WEBでもくわしく解説されています。
 
 
 
地震が少なく安全と思っている人が少なくないこの山口県でも
2つの活断層が含まれています。(菊川断層帯と周防灘断層帯)
 
活断層が引き起こす地震の発生確率は1000年単位のため
生きているうちに経験する確率は必ずしも高くはありません。
 
しかし、それが「安全である」という理由にはならないわけで
たまたま、この数百年、幸運だっただけで
地震は明日起こってもおかしくないわけです。
 
果たして自分の住む家や敷地は安全なのでしょうか?
住んでいる地域には津波や土砂崩れの危険性はないのでしょうか?
 
木造の家であれば、
以下のサイトで簡単な耐震性のチェックを行うことができます。
 
 
また、地域の危険性は、
自治体が公開しているハザードマップで確認することができます。
 
地震という自然現象をなくすことはできませんが
地震による災害は、人間の努力次第で減らすことが可能です。
 
まずは、リスクを正しく知ることからはじめて見ませんか。
 
 

カフェプロジェクト スタディ1

診療所をカフェにコンバージョンするプロジェクト
 
客席と厨房のレイアウト1案目をパースでチェック、
元の診療所の間仕切りを撤去し、室内空間の奥行きをいっぱいに使って
広がりのあるスペースを意識した構成です。
 
基本的なレイアウトとしてはまずまずですが
さらにスタディを重ねていきます。
 
 

カフェプロジェクト、スタートしました。

白を基調にしたカフェスペース
 
診療所に使われていたスペースをカフェにコンバージョン、
新たな交流の場をめざすプロジェクトがスタートしました。
 
今後、デザインとともに活用方法も並行してスタディしていきます。
 
 

臼杵の家、新聞掲載

一昨年の秋に完成した大分県の臼杵の家
このたび大分合同新聞の住宅特集にに掲載されました。
 
周南市からは車で約4時間、設計から完成までに2年余り、
長い時間を感じるプロジェクトゆえに、とても思い出深い仕事でした。
 
先日、建築家の磯崎新氏がご逝去されましたが
大分県は礒崎氏の出身地で県内にも幾つかの代表作を残されています。
 
その礒崎氏の薫陶が根付いているせいか
大分県内には建築に対する意識の厚みのようなものを感じます。
 
改めて、彼の地にて設計した建物がこのような形で
取り上げられたことに感慨を覚えます。
 
 

余白のある時間

あけましておめでとうございます
 
令和になって5年目を迎えました。
世界は激しく動揺し、私たちの日常も日々変化を続けています。
 
 
タイムパフォーパンスの略語ですが、
時間あたりの効率や満足度を意味することばです。
 
確かに、自分も動画の倍速視聴をすることが増えた気がします。
忙しい現代社会では、少しでも効率よく情報を得たいものです。
 
それでも
効率や結果を優先することが行き過ぎてしまうと
ただただ時間を消費するばかりで、
心に深く刻まれることは逆に減っていくような気がします。
 
時間の長さは誰にも平等のはずですが
その時間をどのように使うのか、そしてどのように過ごすかによって
結構、人生が変わるような気がします。
 
忙しい現代だからこそ、オルタナティブとしての「時間の価値」があると感じます。
 
 
 
 
 
この写真は、南フランスのフレジュスというまちの広場でのひとときです。
 
詰め込むではなく、ゆったりと過ごす目的のない時間、
それは余白のある時間と言ってもよいでしょう。
 
決して無駄な時間ではなく、豊かな時間。
 
慌ただしく、不穏な日々が続く中でも、
少しでも穏やかに、そしてゆったりと過ごせる、
そんな豊かな時間と場を大切にデザインしていきたいと思います。
 
本年もよろしくお願いします。
 
 

穏やかに過ごせる場の大切さ

令和4年も残り少なくなりました。
今年はどんな一年だったでしょうか?
 
世界な出来事も多い中、建築関係もコロナ禍の混乱によるウッドショックや
戦争による資源高で工事費にも大きな影響が続いています。
 
3月に竣工した大神の家2も木材価格高騰の影響でコスト調整に苦労しました。
現在、設計中の宇部の家のリノベーションも減額調整などで年を越します。
 
それでも、コストを抑えるために「安かろう悪かろう」では後々問題が起こります。
 
限られた費用の中でも何が一番大切なのかをしっかり吟味し
割り切るところは潔く割り切ることを上手にできれば
タイトなコストでも愛着のわく建築を生み出すことは可能です。
 
 
 
 
 
大神の家2も幾つかの要望を割愛しなければいけませんでしたが
「家族がのびのびとおおらかに暮らす」というテーマはぶれることなく実現。
家がまるで公園や広場のように、居心地よく過ごせる空間にこだわりました。
 
 
 
 
 
 
 
周南のまちでも、「車から人へ」の動きが少し垣間見られました。
11月に行われた社会実験では、御幸通りが公園のような豊かな場に。
コロナ禍でも人々がゆったりと交流できる場の大切さが再認識されました。
 
様々な不安の多い現代だからこそ、人と人が孤立するのではなく、
家でもまちでも人と人がつながって穏やかに過ごせる場が大切だと思います。
 
TIMEはそんな場や時間の大切さによりフォーカスして
その価値を提供することにこだわっていきたいと思います。
 

2022.12.28 設計事務所 TIME

藤田美術館

全面ガラス張りの圧倒的な開放感です。
 
大阪では、中之島美術館に続き、もう一つ、美術館に行ってきました。
大阪城にも近い敷地に建つ藤田美術館です。
 
実業家、藤田傳三郎の邸宅にあった蔵を私設美術館にしたものでしたが
老朽化のため、このたび建て替えられてリニューアルオープンしました。
 
国宝9点を収蔵する美術館は、中央の一段高い白いボリュームが展示室と収蔵庫で
その外側に深い庇が伸びる開放的なロビーが広がっています。
 
 
 
 
 
 
道路越しに見たアプローチ
 
道路と敷地を隔てる仰々しい塀や柵はなく
まちに開かれた外観は、まるでモダンなカフェかショップのようです。
 
 
 
 
 
 
建物の側面もガラス張りでまちとダイレクトにつながっています。
 
貴重な美術品は外的環境からしっかり保護した上で
美術館のパブリックな部分は、思い切りまちに開いていて
機能的にも意匠的にもとても明快なデザインになっています。
 
 
 
 
 
 
こちらも敷地と道路の境界には極力高さを抑えた車止めのみで
床レベルがそろえられていてまちとの連続性が強調されています。
 
 
 
 
 
 
道路と反対側には手入れが行き届いた庭園があり、
その先にある邸宅跡の公園につながっています。
 
展示室はロビーとは対照的に自然光を遮り、明るさを抑えた空間ですが
薄暗い展示室を出ると開放的なこの庭園の景色が一気に開けます。
この庭園を見ながら外通路を通ってロビーに戻るという動線になっています。
 
まちに開いたとても小粒の美術館ですが
その空間は、 開 → 閉 → 開 と明快に場面が展開し
美術品のクオリティとともにメリハリの効いた体験を提供してくれます。