HM養成講座、今回は岩国の城下町の取組みを学びました。
岩国城は、関ヶ原の合戦以後、毛利氏の国境の守りとして
江戸時代には珍しく山城としてつくられました。
しかし、岩国城下の平地が狭いため、
錦川を挟んだ対岸に城下町が整備されました。
そして、家臣が錦川を渡って城に通うために錦帯橋がつくられた
など、その成り立ちを初めて知ることができました。
城下町は現在も江戸時代の町割りがあまり崩れることなく残っており
歴史上の町割りの中に、旧家も数多く存在しています。
今回、講義ののちに旧家の実測調査の実習を行いました。
5、6人のグループごとに、手分けして建物の各寸法を記録していきます。
外部につづき、室内の寸法も計測していきます。
メジャーで長い建物の両端を固定する係、途中の寸法を測る係、
寸法を図面に記入する係など、手分けをして測っていきます。
寸法を測りながら、この家の特徴となる意匠や空間もチェック。
この家には、隣家との間に立派な火袋がつくられていました。
火袋は、
かまどのある吹抜けの空間で炊事による熱気や煙を上部に逃がし、
火事が起こった際にはこの空間に火を閉じ込めて延焼を防ぐという
古人の知恵が詰まった日本建築固有の空間です。
京都の町家にはよく見られるものですが
この岩国のまちの中にその知恵が受け継がれているのは
とても興味深くもあります。
実測が終わり、間取りと各寸法を書き出したもの。
(山根建築設計事務所の山根さん作図)
こちらは2階に上がる箱階段を図にしたもの
(金子工務店の金子さん作)
いずれも力作です!
実際に改修を行う際もこのような実測を行い
建物の全容を明らかにすることが求められます。
新築に比べて、目に見えない手間がかかりますが
現代ではつくれない価値を将来に受け継ぐための大切な仕事です。
今回実測調査に協力いただいた中川家と中川さん。
古くからの家を現在まで大切に守っておられます。
HM講座では、この価値を未来にどう活かすか
その活用方法についての模索も学んでいきます。
2018.2.13 設計事務所 TIME