内と外をつなぐ

徳山高専で教えている建築デザイン概論、
今日の授業のテーマは「つなぐ」
 
一言で「つなぐ」といっても、
建築には様々な「つなぐ」が存在します。
 
そのうちの一つが「内と外をつなぐ」です。
 
深い軒や庇、縁側など
日本には古来から独自の建築文化として内外をつなぐ手法が育まれてきました。
 
上の図は平安時代の寝殿造りの平面図。
緑色の庭(自然)に対し、各部屋(茶色)が分棟で建てられ
それを屋根付きの廊下や縁側(黄色)でつないでいます。
 
部屋にいても、部屋と部屋を移動しても、常に家の外の庭とつながっています。
 
 
 
 
 
 
 
こちらは、京都にある仁和寺の回廊部分
寝殿造りの形態を今に伝える空間です。
 
建物の内と外が交わっていて
実際に回廊を巡ってみると、その豊かな空間を実感できるんですよ。
 
 
 
 
 
こちらは永観堂
深い軒下と縁側を通して、おおらかに庭とつながっています。
 
 
 
 
 
圓光寺の軒下空間
こちらも間口いっぱいに庭とつながっています。
 
 
 
 
 
東本願寺、渉成園にある「蘆菴」
 
建具を取り払うと、もはや内外の境がなくなる
実に気持ちのいい空間です。
 
 
 
 
 
 
変り種はこちら、岡山、後楽園の流店
究極の吹きさらし空間です。
 
 
 
 
 
しかも、建物の中に池からの水を引き込み、
内と外が入れ子のような独特な空間を作っています。
 
これらは、みな古い建物ですが
発想はむしろ斬新で、現代の建築以上に粋なデザインです。
 
内と外をつなぐ日本独自の建築文化、
これからの建築にも大切に生かしていきたいデザインです。