四君子苑

京都の鴨川沿いに位置する四君子苑。(写真奥、赤レンガ調の建物は北村美術館)
 
昭和の数寄者、北村謹次郎の旧邸と茶苑、そして庭園からなる数寄屋建築の至宝です。
建築を手がけたのは、数寄屋の名棟梁、北村捨次郎
本宅は戦後、進駐軍によって一時接収されましたが
昭和38年、近代数寄屋建築の第一人者、吉田五十八設計によって建て替えられました。
 
 
 
 
 
西向きの表門は軒が低く、ひっそりとした表情です。
道路との間に設けた駒寄せ(木の柵)の格子は間が大きく、高さも低め。
門や塀の高さとのバランスがよく、さりげなく結界をつくっています。
 
この駒寄せがあることで道路との間(ま)を引き締めて、
小さな空間に緊張感と奥行きを生み出しています。
 
 
 
 
土間に配された飛び石。
自然石のかたち、大きさ、色、構成、すべてにクオリティが溢れています。
 
 
 
 
 
入口扉のコンポジション。
上下に杉の中杢、その間に入れた竹格子が洒落てます。
 
 
 
 
左脇の中潜り。
正面大扉より小ぶりに抑え、簡素な表情に徹しています。
 
 
 
 
簡素なデザインながら、真ん中に3本の切込みが入れてあります。
繊細に仕上げたその細工が、節のある丸太の粗野な枠材と対比をなしています。
 
 
 
 
 
右脇壁の照明器具。
両脇を台形にして厚みを減らし
竪格子を入れることでさらに涼しい表情にまとめられています。
 
 
 
 
軒裏は白竹の簀の子貼り、わざと目地から泥土をはみ出させたのも
北村の好みだそうで、細部にわたって心が配られ、趣向があふれています。
 
表門だけでもこれだけのクオリティに満ちているのだから
中はどれだけすごいのだろうと、否が応でも期待が膨らみます。
 
 
 
 
この門をくぐるとめくるめく数寄屋のワンダーランドが待っています。
しかし、写真撮影はご法度なので、残念ながらレポートはここまでです。
 
天下の銘木をふんだんに使い、当代気鋭の大工と建築家、そして庭師が手がけた名作を
何度も何度もため息が出る思いで味わいました。
 
四君子苑は毎年、春と秋に特別公開されています。
あなたも、次の機会に是非、堪能してみてください。
 
北村美術館HP
四君子苑