福智院にある重森三玲作の三つの庭、
こちらは本尊、愛染明王の名を冠した愛染庭。
山門から本堂へ貫かれたまっすぐな軸線、
右にサツキの刈り込みと石組、左に幾何学的な縁取りと砂紋のコンポジションで
伝統とモダンが対峙しています。
幾何学的なグリッドには3色の砂が配されて区割りされつつ
砂紋の流れが連続する二層構造です。
中央広間に面した登仙庭
奥に蓬莱山、手前の池泉に鶴島亀島を配した伝統的な構成ながら
うねる曲線は重森独自の大胆な表情。
ちなみに今回、庭奥に見える部屋に宿泊、
1日を通してこの庭とともに過ごす至福の時間を堪能。
手前の鶴島、サツキの刈り込み、そして奥に杉林。
近景、中景、遠景の基本構成にも独自の表現が迷いなく表現されています。
四方を客殿に囲われた蓬莱遊仙庭
白砂と赤砂の二色による大波の激しい表情と石組の構成
まるで二つの波が激しくぶつかり合う様を見ているようです。
感情の起伏、意思の強度がダイレクトに伝わってきます。
もはや美醜の境さえも超えた感のある表現。
永遠のモダンを探求した重森三玲の庭、
伝統に対する攻守の葛藤から生まれる創造性が大きな勇気を与えてくれました。