太宰府天満宮仮本殿

屋根一面がまるで小さな森のよう・・・

熊本視察へ向かう途中に太宰府天満宮へ寄り道しました。現在本殿の改修中で、本殿の代わりに参拝できる期間限定の仮本殿が建てられています。設計は、大阪万博の大屋根リングで知られる藤本壮介が担当。

藤本氏は若い頃から斬新なコンセプトと建築表現で頭角を現し、最近は国際的なコンペでも活躍めざましい建築家です。ただ、大胆なコンセプトによる建築表現は、プロジェクトの巨大化とともにやや密度が落ちているようにも感じていました。

この仮本殿も建築雑誌で見る限り、緑を載せた屋根の派手さだけが際立つようで、果たして実際の建築はどうなのか、気になっていました。

 

 

仮本殿を横から見るとこんな感じです。建築単体としての存在感が際立っており、境内の伝統的な建築や空間から完全に自立しているようにも見受けられます。

しかし、これはあくまで脇から見た姿。本殿は、なにより正面性が重要な建築で傾斜の急な緑の屋根は、長い参道を歩いてきた参拝者をしっかりと受け止めるためのものでした。そして、それは下の写真でより納得できるものでした。

 

 

楼門をくぐったところで見えるのがこの景色です。

屋根に載せられた緑のボリュームが回廊の外側の緑や遠くの山並みと一体となった風景を創り出しています。建造物としては確かに異質ですが、不思議と違和感を感じません。仮設建築にもかかわらず、普遍性を感じるデザインでした。