昨年完成した室積の家にて1年検査を行いました。
モルタルと板壁を幾何学的に構成した外観は
1年分の経過で少しずつ表情が変化してきました。
モルタルの壁は雨風にさらされ
フラットな大きな壁に濃淡の模様が定着しつつあります。
板壁のほうも庇のある部分とない部分で色の変化が出始めています。
建物は丁寧に扱えば100年以上使うことができます。
当然、その間に色合いや質感は変化していきます。
人間が年をとるとともに深みを増していくように
建物も自然の営みに従ってありのままに表情を変え
深みを増していけることを願っています。
2階のキッチン
スチールフレームのキッチンカウンターと構造用合板の棚だけの
むき出しのローコストキッチンですが
暮らす人の個性が加わることで暮らしのリアリティが豊かに現れています。
今回、暮らしの中での気づきや使い勝手をお聞きして
木製の玄関引戸への戸当たりの取付や庇の雨だれ処理など
いくつかの調整を行うことになりました。
建主のお話をお聞きしなら
1年の経過の中で暮らす人と家が少しずつ溶け合って
暮らしのかたちが定着し始めていることを実感できました。