旧松阪城内に残る御城番屋敷
まっすぐに延びる石畳の道、
両側には同じ高さで刈り揃えられた生垣が植えられています。
生垣の奥には江戸末期に建てられた藩士の組屋敷があり
現在でも、その子孫などが生活を営んでいるそうです。
個性的な形と長さを持つ生垣は、道と屋敷の公私を区切り
その高さ(約1.7m)によって屋敷のプライバシーを守るとともに
整然とした秩序と緑の潤いによって独自の景観美を生み出しています。
松阪城から見た御城番屋敷
長さ十二間半(約23m)の長屋が道を挟んで平行に建っていて
ここだけ江戸時代の秩序あるまち並みが残っています。
番屋敷と道路の間には端から端まで生垣が植えられて
建物・生垣と道路がワンセットになった空間が形成されています。
生垣には所々にスリットがあり
これがそれぞれの屋敷に入る入口になっています。
入口を正面から見たところ
生垣は道と屋敷を仕切るだけでなく
入口の門のような役割にもなっています。
番屋敷の特徴である生垣は、周辺の家々にも生かされており
このあたり一帯、整った緑の景観が連続して
歩いていてもとても気持ちのいい通りです。
こちらは生垣ではないですが
鉢植えの緑が道路一面に置かれています。
樹木や植栽は常に手入れが必要で
忙しい現代ではとかく敬遠されがちですが
手をかけてあげれば、家も引き立ち、まちにも潤いを与えてくれます。
潤いとともに、手間をかけることで自身の心も整えてくれる
緑のある暮らしがもつ効用を実感させてくれる
そんな松阪のまち並みです。