法然院 参道

法然院、参道入口
 
京都東山の麓に位置する法然院
その参道のデザインは今見てもとても洗練されており、かつ独創的。
俗世界から聖域に導くアプローチの妙を味わうことができるのです。
 
 
 
 
石段は自然石を乱形に敷き詰め、御影石の延石で縁を引き締めています。
リズミカルなパターンは、まるで静かな沢の流れのようで、
俗世の乱れた心を洗い落としてくれるているようです。
 
 
 
 
 
石段を上がるとその先には静かな木立が広がるのみ。
そこにあるのは「無」、ただただ静けさのみが漂います。
 
参道はここで左に折れ、場面が転換、
はやる気持ちを落ち着かせているように長い長い参道を歩かせます。
 
 
 
 
 
左に折れた参道はしばらく木立の中をまっすぐ進みます。
自然の山の斜面を切り裂くように挿入された幾何学的な造形、
静けさの中にも強い意志を感じます。
 
参道の先には再び石段があり、第二の場面転換が行われます。
高低差と角度を振ることで、世界が変わることを強く印象付けています。
 
 
 
 
 
その石段から参道を見返したところ。
矩折りの参道と緩く幅広い石段、調和と対比が見事にバランスしています。
 
 
 
 
 
階段をのぼると、正面に山門が見えてきます。
ぽっかりと四角に開いた山門が風景の焦点をつくり
アプローチのクライマックスを見事に演出しています。
 
参道はここから一直線に山門へ向かい、床の仕上げも砂利敷きに変わっています。
踏みしめる音が加わることで、聖域に向かうことをさらに意識させます。
 
高低差を利用した巧みな場面転換で長いアプローチに抑揚を与え
抑制されたデザインながら、しっかりとした意図が感んじられる空間です。