アクロバティックな造形が目を見張る建築は震災ミュージアムKIOKU パッと見ただけでは空間構造がどうにもつかみきれません、
弓なり状の細長い三角形平面の展示棟を2つ繋げたような、なんとも独創的な造形です(図中右側のオレンジ色の部分)
平面形状を見る限り、動線がそのまま空間になったような建築で、展示をするためのまとまった空間がとりにくそうにも見えますが、果たして室内空間はいかに・・・
実際に中に入ってみると・・・
写真の奥が展示室入口で、天井も低く通路の幅ほどの大きさしかありませんが、そこから末広がりに空間が膨らんで、展示スペースにたどり着きます。
3次元的に抑揚のある空間造形でありながら、不思議と違和感はなく、気がつくと、自然と展示空間にたどり着いていた、といった空間になっていました。
展示室入口から展示室内を見たところ
展示室は入口から膨らむとともに大きな開口部で阿蘇の風景と一体となった空間になっています。それは閉鎖型の展示空間とはまったく異なる固有の場所性をもったもので、震災とともにこの場の記憶が刻まれていくようです。
外観も独創的ですが、阿蘇特有の雄大な風景と呼応するランドスケープのような建築となっています。
そして、唯一無二のデザインは、場所から自立した概念的なものではなく、しっかりとリアリティを持っていて、新たな建築の可能性を感じるものでした。
2024.11.9 設計事務所 TIME