仕上工事 進行中

工事業者の車で大混雑の駐車場
 
3月に入り、完了検査まであと2週間、
内装仕上、電気・設備、外構工事など、あらゆる工事が同時進行で進んでいます。
 
 
 
 
 
 
北向きの貸切風呂は浴槽のモザイクタイルが仕上がり
漆黒の室内にガラスタイルがキラリと光り
瞑想空間のような雰囲気が高まってきました。
 
 
 
 
 
 
西向きの貸切風呂では庭を囲う板塀の工事が進んでいます。
脱衣室から浴室、庭、そして遠方の山並みへと視線が抜けていきます。
 
 
 
 
 
 
外構のアプローチ部分では
コンクリート舗装の割付やスロープとの取合いなど
造園業者と具体的な形状や寸法などの打合せを行いました。
 
 
 
 
 
 
敷地内を横断する水路からの見返し
軒下空間を活用した足湯の仕上工事が始まりました。
足湯につかり、庭や周囲の自然を感じながらくつろげる場になる予定です。
 
 
 
 
 
 
敷地のまわりでは梅が満開を迎えています。
 
これからの2週間で、現場は一気に姿が変わっていきます。
桜の咲く頃には、施設も見頃を迎えているはずです。
 
 

まもなく佳境へ

ぐずついた天気の合間をぬって
湯野ではアプローチのスロープ工事が行われています。
 
 
 
 
 
 
手前にカーブする通路は駐車場からのアプローチ。
後方の直線上の通路は大浴場との連絡通路です。
 
アプローチの通路は松の大樹から視点を大きく展開させながら
温浴施設の玄関正面に向かう動線になっています。
 
 
 
 
 
 
通路には高低差があるため、雨や冬場の雪、そして凍結を考慮して
滑り止め効果のある刷毛引き仕上です。
 
通常は仕上面より側面の型枠を高くするので
端部まで刷毛引きの線をきれいに伸ばすのは難しいのですが
無理を承知でお願いしたところ、型枠を変化する仕上レベルに揃えてくれました。
 
おかげで、際まできれいなラインが伸びたすっきりとした表情が出ています。
 
 
 
 
 
 
室内では大工工事が一段落し、塗装工事に進んでいます。
しっくい塗料が塗られた室内には明るく開放的な雰囲気が出てきました。
 
 
 
 
 
 
手前では建具枠周りのモルタル詰め作業、
屋外では造園職人による造成が同時進行で行われています。
 
完成目標まで残り3週間、
ここから先は日々様々な業者が入り乱れる怒涛の仕上工事に突入していきます。
 
 

パルテノンのオマージュ

道路から見た施設入口の風景
 
手前には既存施設で使われていた太い門柱、
奥に木造の新築棟が斜(はす)に構えて見えています。
 
ギリシャのパルテノン神殿と比べるのはおこがましいですが
あえて角度を振ることで、薄味の建物に立体的な表情を与えています。
 
 
 
 
 
 
 
建物の手前の地面に見える白い線はアプローチとなる通路
緩やかにカーブしながらエントランスの正面に向かっていきます。
 
湯野の温浴施設では、内装の造作工事も後半に入り
来週から外構部分の下地工事に進む予定です。
 
 
 

主役と脇役

湯野の温浴施設では足場が解体され
ついに増築棟が外観の姿が現れました。
 
真ん中の松の大樹をシンボルツリーと見立てて
その両側の既存大浴場と増築棟がこちらに手を広げるように配置され
その後方には山並みが重なるように続いています。
 
増築棟が建つことによって明確になったランドスケープは
自然を基点にしたギリシャ的な構成にも似ています。
 
主役はあくまでこの土地がもつおだやかな自然の風情、
建築はそれを引き立てる名脇役をめざします。
 
 

浴室 左官仕上げ工事

年が明けて、湯野の現場では浴室の左官仕上げ工事が始まりました。
 
北向きの貸切風呂 月は窓の高さを低く抑えながら
全開する窓によって外庭とつながる落ち着いた空間です。
 
 
 
 
 
 
腰壁の左官仕上げ、その上の杉板の壁が貼られたところ
 
こちらはモノトーンの明るさを抑えた空間、
天窓からの光による陰影が仕上げを繊細に映し出すことを意図しています。
 
 
 
 
 
 
貸切風呂 壺の方は、円形浴槽を左官で仕上げています。
壺をイメージした平面と縁回りは丸みのある形で
手仕事で生み出されるやわらかい表情を引出すため
浴槽全体を骨材入りの人研ぎ仕上げとしています。
 
 
 
 
 
 
壁の左官仕上げ
こちらはやや明るめのベージュがかった灰色の壁に仕上げていきます。
 
 
 
 
 
 
 
貸切風呂 月の床仕上げ工事
壁と同様、明るさを抑えた黒っぽい豆砂利入りの洗い出し
 
 
 
 
 
 
左官仕上げがほぼ仕上がりました。
 
やや露出を絞って撮ったため暗く見えますが
天窓によって陰影が感じられる空間になっています。
 
 
 
 
 
 
人造石による浴槽の縁と洗い出しの床
黒を基調とし、数種類の骨材を加えることで
かすかに表情が浮かび上がるような表情が見られます。
 
 
 
 
 
 
壺の方も、最後の床仕上げが行われました。
 
こちらは一転して明るい色の床仕上げ
白を基調とした中に、同じく数種類の豆砂利で表情をつくります。
 
 
 
 
 
 
約2週間かけて浴室の左官工事がほぼ完了。
あわただしい工程の中、
枠回りとの取合いや寸法の調整などいろいろ苦労はありましたが
もっとも重要な空間は、なんとか形になってきました。
 
 

虚を実現する力 倉俣史朗のデザイン展

世田谷美術館で行われている倉俣史朗の回顧展に行ってきました。
 
デザインの仕事をする人なら知らない人はいないであろう、
それほど強く独創的な作品を世に残した倉俣史朗
 
個人的には、建築家の北山孝二郎氏のもとでの修行時代、
兄である安藤忠雄さんや三宅一生さんとともに近い関係で
常に刺激を受ける存在でしたが、1991年、56歳で早逝。
 
今回、時代を超えた普遍の強さを持つ作品群を見てきました。
 
 
 
 
 
 
週末ということもあってか、開館10分前にはすでにこの行列。
注目度の高さを改めて実感します。
 
 
 
 
 
 
今回、最初の展示室のみ撮影可能ということで
せっかくなので名作たちを記録に残してきました。
 
 
 
 
 
 
まるで線画をそのまま立体にしたような01チェアとテーブル
 
単純明快な形ながらシルエットが重なって映り込む姿がまた美しく
それもイメージとして織り込まれていたであろうと思うと改めてゾクゾクします。
 
最小限のパーツに還元しながらも決して単調ではなく
シニカルのような、それでいてユーモアも感じられるような
そしてなにより、デザインの強度がしっかりと感じられる作品です。
 
 
 
 
 
 
 
天板の丸いフレームと脚の取合い
 
デザインにおいて異なるパーツを組合わせるとき
常に明快な答えが見つからず逡巡することがありますが
さすが、こんな手があったのか!とハッと気づかせてくれる
単純なのになんともエレガントな解答です。
 
 
 
 
 
 
ガラス片を象嵌したテラゾーテーブル
 
正方形の天板と同じく正方形のやや太い脚で構成された
形態としてはいたってシンプルなテーブル
 
しかし、ガラス片をランダムに象嵌したテラゾーで成形されていて
唯一無二の表情がテーマとして強く現れています。
 
 
 
 
 
単純な造形は精緻に組み合わされることによって
強い緊張感がにじみ出しています。
 
 
 
 
 
 
TOKYO
 
イッセイミヤケの店舗でデザインされたテラゾーテーブルは
白い色と丸い形がベースになっています。
 
 
 
 
 
 
白いベースに色とりどりのガラス片が散りばめられています。
 
それらひとつひとつは単なる破片にすぎないのにもかかわらず
どうしてこんなに美しい姿になるんだろう・・・
 
まさに倉俣マジックです。
 
 
 
 
 
 
How High the Moon
 
金属メッシュによるボリューム感のある曲面がとてもエレガントです。
しかし、イスの中は空っぽというトリッキーなデザインで
空虚さと軽快さという相反する二面性がなんとも不思議です。
 
ここで使われているエキスパンドメタルというメッシュ材は
フェンスや仮設の床などに使われる無機質な工業部材ですが
倉俣の手にかかると全く異なる美へと変身してしまいます。
 
 
写真に収められたのはこの4作品だけですが
そのほかにも透明なアクリルにバラの花を閉じ込めたミス・ブランチ
透明なガラス板だけで構成されたガラスの椅子など、充実の作品群です。
 
独創的なデザインなのに風のように軽やかな倉俣史朗のデザイン、
そして、イメージを現実の形と姿に実現していく力と強い意志。
30年以上を経た今、改めて鮮烈な刺激を得ることになりました。
 
 

時は文化なり

長年続けている茶道は昨日が今年の初稽古、
先生が作ってくださった点心をいただきました。
 
仕事では常に時間に追われる日々ですが
稽古では、いつもの所作を改めて繰り返すことによって
乱れていた心が少しずつ整っていくようです。
 
速さではなく、逆にゆったりと
そしてできるだけ丁寧に所作を行う時間をかみしめていく。
 
「時は金なり」とはよく言いますが
あえて「時は文化なり」という価値を磨いていきたいですね。
 
 

豊かな時間をさらに求めて

あけましておめでとうございます
 
今日から湯野では工事が再開されました。
 
周南市の山あいに位置する湯野地域は周囲を山に囲まれた盆地で
その盆地を貫いて流れる夜市川沿いに古来より温泉が湧出し
戦前から温泉を利用した療養地として活かされてきました。
 
盆地に流れ込む雨水は田んぼを潤して
田植えの時期には一面が湖のような水面となり
青い空と雲を地上に写し込み、穏やか自然の景色が現れます。
 
この穏やかな風景は、とてもとても何気ないもので
いわゆる「絶景」とはまったく異なるものですが
その穏やかで平和な風情にこそ、この湯野の個性が潜んでいると感じています。
 
この穏やかで平和な風情を最大限に生かし
時間を気にせずゆったりと過ごせる場をめざしています。
 
昨年はチャットGPTなどAIの進化を身近に感じる年でしたが
そのスピードは、今後もさらに加速していきそうです。
 
世界では日々、大変なことが起こっていても
いちいち気にとめる余裕もないほどに時間が過ぎていきます。
 
そんな時代だからこそ、
オルタナティブとしての平和で豊かな時間がとても大切になると考えます。
 
TIMEでは、引き続きこの豊かな時間にこだわって
人間らしく過ごせる時間と場を提供していきたいと思います。
 
今年もどうぞよろしくお願いします。
 
 

湯野温浴施設 木工事進行中

湯野の温浴施設は絶賛、大工工事が進行中
年明けから始まる浴室の左官工事に間に合わせるため
浴室の工事が佳境を迎えています。
 
 
 
 
 
 
「月」という名の貸切風呂では
8畳ほどの空間に大工さん2名で防水シートと胴縁の取付中
 
 
 
 
 
 
天窓から差し込む光
 
北向きの風呂の室内はあえて閉鎖的で暗めにして
天窓からの光が印象的な空間になるよう設計しています。
 
 
 
 
 
 
もう一つの貸切風呂 「壺」
こちらは庭に繋がる半露天にもできる開放的な浴室
 
2つの円が重なるようなかたちの浴槽は
茶道裏千家で使われるツボツボ文様から引用されています。
 
 
 
 
 
 
2つの貸切風呂に使われる壁と天井の杉板
 
黒く着色されたほうは「月」の壁・天井用
生地仕上げの方は「壺」の天井用
 
もともとは予算の都合で節のある板を使うはずだったのですが
材料手配の都合で、節のない上物が入ってきました。
 
いずれもとても綺麗な表情です。
 
 
 
 
 
 
今年の工事は今日が仕事納め
工期が短い中、怒涛の勢いでここまで進んできましたが
年が開けると、さらにボルテージが上がっていきます。
 
自分の仕事として、これまでにない厳しいスケジュールですが
それでも、この場所の個性が少しでも引き出されるように
そして、時間を忘れてしまうような心地よい場所になるよう
引き続き取り組んでいきます。
 
 
 

湯野温浴施設 造作工事進行中

水平に伸びる屋根の軒先
軽ワゴンの長さがおよそ3.4mなので
かなり横長のプロポーションであるのががわかります。
 
棟上げが終わり、屋根工事や室内の造作工事が始まっています。
建物が仕上がれば見えなくなってしまうものばかりですが
実は建物の性能を左右するとても大事な工事です。
 
ここでしっかりチェックが建物の寿命にも関係するため
現場とコミュニケーションしながら、チェックしていきます。
 
 
 
 
 
 
屋根下地の防水用ルーフィング
素材の確認やシートの重ね代、傷がないかなどチェックを行います。
 
 
 
 
 
 
軒先の唐草(先端の板金材)とルーフィングの取合い
 
雨は基本的に上から下に流れるので
部材は下から上へ重ねていきます。
 
なので、唐草が下になり、ルーフィングがその上に重なります。
たまに唐草が上に取り付けてあるのを見かけることもありますが
基本はこの写真のようになるべきではないかと思っています。
 
 
 
 
 
 
垂木と垂木の間には断熱材が充填され、
その上には30ミリの通気用の空間を確保、当事務所の標準納まりです。
 
経験的にもこの隙間を設けることで
屋根からの暑さをかなり軽減することができます。
 
 
 
 
 
 
通気用の隙間は屋根全面に設けられており
このあと穴の空いた面戸板をかぶせて仕上げていきます。
 
 
 
 
 
 
耐震性をしっかり確保するための金物が取付けられた段階で
構造事務所の金物検査を行いました。
 
今回、梁と柱の接合部が表しになる箇所が多いため
接合部がすっきり見える金物工法を採用しています。
 
写真の部分は壁に隠れますが、
梁と梁をつなぐ接合金物、柱と梁を固定する接合金物など
構造図の仕様と合致しているか照合していきます。
 
 
 
 
 
 
こちらは柱の足元に取付けた引き寄せ金物
地震時には、特に建物の出隅部分に大きな引き抜き力がかかるので
強度のある金物でしっかり補強します。
 
 
 
 
 
 
建物玄関側から受付となる空間を見たところ
 
天井は貼らずに梁や構造用合板がそのまま表しになるため
屋根を仕上げる前に照明器具などの配線が設計図通りの位置に
確実に配線されているかどうか、1箇所1箇所確認します。
 
 
 
 
 
 
カフェ兼ラウンジ部分
 
庭に面するこの部分も今見える木材がほとんど表しになります。
ここに木製建具がはまって開放的な空間になる予定です。
 
 
 
 
 
 
円形の浴槽がある貸切風呂
 
土間の防水や壁の耐力壁、仕上げ材を貼るための下地材など
少しずつ、形が整ってきました。
 
外に見える青い柱は目隠し壁の下地となるもので
浴室から庭越しに湯野の山並みや空が望める予定です。