大津島の茶室では左官工事が進み始めました。
壁で覆われて建物の全容がはっきりしてきました。
入口引戸の敷居もモルタルで仕上げられました。
直線の存在しないこの場所にはじめて現れた直線、なぜか新鮮です。
引戸の袖壁下地の厚さはわずか25ミリ、
メタルラスにモルタルを塗っただけですが、結構しっかりしています。
内部でも土間仕上げのモルタル施工中。
自立する石の柱とモルタル下地の壁。
当初は床と同様、金コテですっきり仕上げる予定でしたが
このザラっとした質感をそのまま残すことにしました。
金コテの壁もきれいなんですが、
石や丸太のあまりの迫力に負けてしまいそうなので、急遽変更です。
二畳の茶室を囲う土壁。
山口県特有の濃い土色の赤土です。
この荒壁が乾燥したら中塗り、上塗りに進んでいきます。
回天の島としても知られる大津島ですが
一方で、ここには現代都市が失った原風景や素朴な暮らしが今も残っています。
石の柱や丸太の小屋組、そして土壁を使ったこの茶室は
その原風景をあぶり出すような存在でもあるのです。