Showcase Hotel KASANE

有福温泉に生まれたコンセプトホテル Showcase Hotel KASANE
古い旅館をリノベーション、地域の職人による手仕事をフューチャーし
独自の世界観が展開しています。
 
 
 
 
 
 
玄関に入るとあざやかな藍染めの下駄箱が目を引きます。
 
 
 
 
 
 
下駄箱の取手もオリジナルのもの
細部に至るまでデザインへの情熱が伝わってきます。
 
 
 
 
 
 
 
玄関ロビーの中心にはオリジナルのものと思われる大階段
明るさを落とした陰影の中に存在感を示しています。
 
 
 
 
 
 
階段を上がると複数の宿泊室へアプローチ
間接照明や集光型のダウンライトなどが空間に落ち着いた表情を与えています。
 
 
 
 
 
 
宿泊室に入ると、一面和紙の柔らかい光が迎えてくれます。
 
 
 
 
 
 
部屋の真ん中には、象徴的なペンダントライト
木製のシェードにもこだわりが込められています。
 
 
 
 
 
 
ダイニングテーブルの奥にはちょっとした調理ができるミニキッチン
天板も含め、木製のオリジナル家具として製作されています、
 
水栓、IHコンロやオリジナルのフード、壁の棚など
ひとつひとつ吟味してアレンジしたものたちが絵になる風景を創っています。
 
 
 
 
 
 
ダイニングルームの奥にあるベットルーム
木材や障子、土壁などの自然な色合いの中に藍の差し色が効いています。
 
 
 
 
 
 
ベッドルームの開口部も和紙による柔らかい光
落ち着いた雰囲気があり、夜明けも柔らかく感じられる空間です。
 
 
 
 
 
 
障子の組子にもこだわりが・・・
デザインを詰め込むと、場合によっては、やり過ぎになりがちですが
このホテルに込める真摯な思いでバランスを図っている感じがします。
 
 
 
 
 
 
寝室の奥にあるアクセントライト
既成のL型鋼を、あえて余計な手を加えずに潔く扱って
裏面に間接照明を組み込んだだけの好感が持てるデザインです。
 
 
 
 
 
 
ダイニングルームとの間仕切壁は元々の仕上げを取り外し
筋違いも含め、骨組みを意匠としてアレンジしています。
 
 
 
 
 
 
洗面室とトイレを仕切るカーテンのレールは懐かしい竹尺
若々しい遊び心に思わず笑みがこぼれます。
 
 
このホテルをプロデュースするのは
江津市内にあるSUKIMONOというデザイン会社で
建築や家具のデザインにとどまらず、
地域に根ざしたまちづくりにもこだわりを持っているようです。
 
まだまだ若い会社だけに、これからの展開が楽しみです。
 
 

週末連載 台湾44

台湾一の観光地、九份
夕暮れ時、漆黒の建物に赤いランタンが強烈な印象を生み出しています。
 
世界のどこにもない固有の風景は、
「千と千尋の神隠し」のモデルとも言われ
日本からも多くの観光客を引きつける現代の聖地に昇華しています。
 
 
 
 
 
殺人的な混雑はまるで昇り竜!
 
日本のGWだったこともあり、
聖地は沸騰し、驚異的な磁場を生み出していました。
 
 
 

週末連載 台湾43

迪化街から5、6分歩いたところにある慈聖宮
このあたりは台北の下町で、庶民の生活に根ざした心の拠り所です。
 
 
 
 
 
 
内部も台湾らしい華やかな色使いですが
祈りの風景には世界共通の「静けさ」も感じられます。
 
 
 
 
 
この廟のユニークなのは、廟の外に小吃店の屋台が張り付いているところ。
心だけでなく、庶民の胃袋も満たしてくれるのです。
 
 
 
 
屋台の料理は境内に持ち込んで食べられるシステムで
聖と俗がクロスオーバーする実に寛容な空気が流れています。
 
ルールは人を縛るためにあるのではなく、
人と人がともに人間らしく生きるためにある。
 
下町の小さな廟に存在する寛容なルールには
がんじがらめになった日本が忘れかけている融通性が存在し
ルールというものの本質を教えてくれるのです。
 
 
 

週末連載 台湾42

迪化街の中心に位置する永樂市場
その周囲には計画的に作られたオープンスペースがあります。
 
このスペースは周辺のまち並みと適度な間合いをつくり
永樂市場の歴史的外観をシンボライズすることにも貢献しています。
 
歴史的資産をしっかり生かして
現代の都市生活にゆとりと味わいを生み出すこの仕掛け、
とてもクールです。
 
 
 
 
米粉湯などの老舗が並ぶ南側には樹木とベンチが設えてあります。
 
美味しい店、広場、木陰、ベンチ
最強の組み合わせが都市の中に「幸せな空間」を生み出しています。
 
 
 

週末連載 台湾40

真っ赤な丸提灯とアールデコ様式のビル
 
迪化街にやってきました。
このまちの歴史は古く、19世紀の清朝時代に貿易のための商店や問屋街が開かれ
日本統治時代、戦後の中国統治を経て、現在は観光地としても賑わいを見せています。
 
その繁栄の歴史は、必ずしも直線的なものではなく
中国や日本、日本を経由して移入された西洋の文化などが
まるで積層したケーキの断面のような風景として見えてきます。
 
 
 

週末連載 台湾39

迪化街に向かう途中、
突如現れた要塞のような集合住宅。
 
巨大な壁面もさることながら、そこに張り付いた庇、室外機、バルコニー。
どうやら個々の居住者のニーズに応じて後付けされたようです。
 
そのイレギュラーな構成が巨大壁面の威圧感を和らげて
生き生きとした人間くさい表情を獲得しています。
 
それにしても、
この後付けパーツ、一体どうやってつけたのか・・・?
 

2017.9.16 設計事務所 TIME 

週末連載 台湾38

競い合うように道路に突き出した袖看板たち
 
台湾編で何度も現れる混沌とした風景。
一見、日本の都市風景にも似ていなくもないですが、何かが違う。
 
それは、
工業製品にはない、人の手仕事による標準化されていない仕事ぶり。
その表情は、まるで人間の感情がむき出しになったようで圧倒的にリアルです。
 
 

週末連載 台湾36

金属製の格子で覆われたまち並み
 
まるで鳥かごのようなこの格子、
京都の格子とは機能や風情は違うものの、連続したまち並みを形成しています。
 
なかには格子が植木鉢の台に派生していたりして、
まち並みが独自の進化を遂げているところが秀逸です。
 
 

週末連載 台湾35

先週につづき、すきま風景をもうひとつ
 
この路地もかなりミステリアスな雰囲気をもっていますが
 一方で、これだけの長さがまっすぐに通っていることから
近代都市としての計画性をも暗示させます。
 
 
 
 
試しに航空写真をググってみると、このとおり。
 
四角に囲われた街区の中に鰻の寝床状のビルがびっしり。
それらが南北の真ん中できれいに分けられ、そこを路地が貫いています。
 
この路地は、ある意味よそよそしい大通りの性格に対して、
リアルなコミュニティをささえる都市のサブシステムと言えるのかもしれません。
 
 

週末連載 台湾34

路地? それとも・・・
 
地下鉄(MRT)雙連駅近く、ビルとビルのすきま風景。
都市生活では必要だけど、見せびらかすべきでないものたちがあふれていて
その様はまるで都市の内臓のようです。
 
このすきま、どうやら通り抜けできそうなんですが
通過する間に消化されそうで怖い・・・