週末連載 台湾33

台湾庶民の台所のひとつ、雙連朝市
文昌宮という廟を中心に、南北に広がっています。
 
 

 

文昌宮には学問の神様「文昌帝」が祀られており
受験生にも人気のある廟なんだそうです。
 
 
 
 
 
 
 
活気ある朝市の中に静かな祈りの場が同居しています。
 
 
 
 
 
 
 
魚や野菜、果物、食料品などが狭い路地の両側に延々と並んでいます。
整然と商品が並ぶスーパーマーケットではけっして味わうことのできない
人と人の距離の近さとリアルな質感があふれています。
 
朝市や市場は、都市を活性化させる潤滑油のような場、
ドライな現代の都市にこそ、もっとも必要な都市の装置です。
 
 
 
 
 
こちらの加工食品、かなりのウェット感が高温多湿の台北の街らしい。
試しに湯葉のようなもので巻いた右のものをゲット、なかなかの美味です。
 
 
 
 
 
こちらは台湾版のクレープのよう。
中国語はわからなくても、ジェスチャー付で「これひとつ」と言えば
ちゃんとコミュニケーションは成立します。
 
 
 
 
 
 
オッとその時、一台の車が割って入ってきました。
人であふれるこの狭い路地をわざわざ通るか!?
 
まるで無法地帯のようですが
いや、これこそが台湾では当たり前のルールなのかもしれません。
 
誰も騒ぐことなく、平然と車をやり過ごしていく姿に
混沌を柔軟に受け入れていく人間の強さのようなものを感じます。
 
 
 
 
 
朝市のそばには地下鉄MRTの駅からつづく公園があり
買ったものをこちらでのんびりといただくこともできます。
そこにはおこぼれにあずかる鳩たちも・・・
 
ここには余計なルールがあまり存在せず、まさに平和な場所といえるでしょう。
 
 

週末連載 台湾32

 

雙連朝市のそばにある豆乳の店、世紀豆漿大王
 
以前、北京の屋台で食べた豆乳スープがあまりに美味かったので台北でも再来、
ということでやってきたのがこの店。
 
 
 
揚げパンが入った熱々の豆乳スープにさらに揚げパンを追加。
追加の揚げパンは、ちぎってスープにつけながら食べると、これがまたうまい。
 
素朴な朝ごはんですが
昔ながらの朝食文化が味わえるこの店、台湾のリアルを実感できます。
 
近隣には日本人観光客向けのホテルもあり、都市化がどんどん進んでいますが
この店が「変わらない」存在であり続けているという事実はすごいことです。
 
そういえば、伊東豊雄さんが築地の豊洲移転について、
混沌としてリアルな場所がどんどん消えていくのはよくない、とラジオで話していました。
 
台湾には、混沌やリアルを許す文化力(民力)が確かに存在し、
その力は時として経済力に勝っています。
 
この懐の深さのおかげで、この朝も幸せな時間をごちそうさま!
 
 
 
 

週末連載 台湾31

2ヶ月ぶりの更新ですが
改めて台北のまちからのレポートを続けます。
 
この日の朝は、雙連朝市近くの「世紀豆漿大王」をめざして歩く。
と、晴れていた空が一転、暗くなりスコールのような雨。(午前7時過ぎ)
 
 
 
 
 
台湾の雨季はとにかく雨が多い。
それでも、以前にも触れたビルの1階の連続した通路があるために
雨に降られてもそんなに困らない。
 
この軒下通路、あれから色々調べたところ、「亭子脚」というもので
もともと東南アジアに文化的背景をもつ構造物で
それを日本の植民地時代に都市の構造として体系化したものだそうです。
 
アジアの伝統文化と日本の持ち込んだ近代思想がうまく溶け合い
いまでは、台湾のまちの「当たり前の風景」となっています。
 
 

週末連載 台湾30

台中にある茶藝館、無為草堂
 
台中市の市街地に立つ、比較的大きな敷地をもつ茶藝館です。
近代的なビルが立ち並ぶ中にある伝統的な佇まい、
門をくぐると、まるで異次元へいざなわれるようです。
 
 
 
 
受付を抜けると敷地の真ん中に池が広がっています。
そのまわりに回廊がめぐり、いくつもの個室が点在しています。
 
 
 
 
日本建築に比べるとやや大味な作りですが
それでも、池と緑の自然、その自然へと開かれた開放的な空間作り、
南国の気候も相まって、とてもくつろげる、気持ちのいい雰囲気です。
 
 
 
 
私が通されたのはこちらの離れ。
そばには小さなせせらぎが設えてあり、絶えず水の音を感じることができます。
 
 
 
 
昼時にはランチメニューがあり、
この日は鴨肉をローストした料理をいただきました。
 
 
 
 
そして、食後に中国茶をいただきます。
このお店でも最初は店員が中国茶の所作を一通り行ってくれます。
開放的な雰囲気の中、あたりにお茶のいい香りが広がります。
 
 
 
 
日本の茶道もそうですが
お茶は、それをいただく時間とともに、その空間がとても重要です。
 
台中のこのお店は、南国らしい空間作りで
簡素な佇まいの緊張感というよりも、おおらかさが勝っています。
 
そして興味深いことに
日本とはニュアンスの違う「市中の閑居」が体現されており
異国情緒も手伝って、快い時間を味わうことができました。
 
 
 

週末連載 台湾29

台北駅の切符売り場
 
台中にある茶藝館を探訪するため、台北駅へ
台湾の新幹線チケットは事前にインターネットで予約できるので
面倒な会話を省略し、チケットを受け取ることができます。
 
 
 
 
台湾の高速鉄道
鉄道駅や車両、運行システムには日本の技術が貢献していています。
 
車両の色合いに日本との違いが現れていますが
車内の内装やシート、放送のスタイルもほとんど日本と同じです。
 
こんなところにも日本との親和性を感じながら
台北から1時間ほどのショートトリップです。
 
 
 
 

 

 

週末連載 台湾28

まもなくレースのスタートか?
 
いや、そうではなくて、とある朝の通勤風景です。
手前で右手を上げて合図をしているのは交通誘導員、
一応信号機はあるのですが、ここでは手動で誘導しています。
 
 
 
 
さあ、一斉にスタート!
 
いや、あくまで通勤風景なんですけど
どう見てもバイクレース、先を争って疾走していきます。
 
日本と変わらない穏やかで整然とした朝の風景が一転、
日本にはないダイナミックな空気がみなぎる瞬間です。
 
 

 

週末連載 台湾27

夜のとばりに怪しく光る牌坊(中国様式の門)
台北の最も古い町、萬華地区にある貴陽街の入口です。
 
この先にある華西街夜市を目指してホテルから歩いてきましたが
あたりはすっかり暗くなって少々心細くなりますが、
まるで「千と千尋の神隠し」の世界に引き込まれるように奥へと進みます。
 
 
 
 
門をくぐってすぐのところにある艋舺青山宮
こちらも台北では歴史のある道教の寺院、
夜遅くまで開放されていて、まるで祭りの縁日のような雰囲気です。
 
 
 
 
再びうす暗い道を進むと見えてきた「華西街夜市」の看板
さらにその先にも明かりのついた門が見えます。
 
暗さのなかに浮かび上がるまちは、まるでチャイニーズマジック、
なぜか奥へ奥へ引き込まれてしまう、
夢の中に迷い込んでしまったような不思議な時空間です。
 
 
 
 
ここまでくるとようやく人の賑わいが感じられます。
この先はアーケードになっていて、迷宮の核心に近づいてきた感じがします。
 
 
 
 
大通りをはさんでさらに奥へつづく夜市
 
 
 
アーケードを抜け、さらにつづく夜市
こちらには服や雑貨、土産物などがあふれていて
さっきの薄暗い静けさが嘘のような賑わいです。
 
 
 
 
歩き疲れて腹が空いたところで一服することに
屋台も盛況です。
 
 
 
 
今宵の食事、台湾ビールとともに
このままこの迷宮で陶酔していくのでした。
 
 
 

週末連載 台湾26

 

台北の地下鉄MRT、台大醫院駅
 
駅のホームは改札のフロアの一つ下、
改札からまっすぐ進んでエスカレーターを降りていきます。
 
空間的には、改札の階とつながる吹抜けになっていて
地下鉄のもつ圧迫感がなく、地下なのにとても開放的です。
 
 
 
 
ホームには危険防止のホームドアが完備され、デザインもとてもスマート。
安全とデザインを上手にバランスさせています。
 
ある意味、日本をお手本に成長してきたアジアの国々、
様々なところに日本が手本にしたいような「快さ」を生み出しています。
 

 

週末連載 台湾25

 

永康街の繁華街を抜けた路地裏、
落ち着いた佇まいの中に、さりげなく家々の緑が潤いをつくっています。

 

 

門前を彩る植栽
 
南フランスでもそうでしたが、
家々がその個性を示しながら街並みと関わっています。

 

 

以前に触れた集合住宅のバルコニー
こちらも、格子と緑が優しい風景を作っています。
 

物干し場と化した日本のマンションにはない、公共のスピリットを感じる風景です。

 

2017.1.14 設計事務所 TIME

 

週末連載 台湾24

 
 
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住宅街にひっそりと佇むカフェ
 
 
あせたモルタルのベンチ、スチールサッシュのガラス張り、
さりげなくもほどよいアクセントになっている照明、
この店は間違いない!
 
ということでこちらでコーヒーブレイク。
 
 
 
 
 
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コンクリートの土間に亜鉛メッキ状の模様を描く壁、
テーブルや椅子も風化していくテイストを生かし
オーナーのこだわりが首尾一貫しています。
 
こういう店のコーヒーは基本的にうまいのです。
 
ソウルのカフェでもそうでしたが、
日本以上に若いオーナーたちの感性が生き生きと表現されています。
 
まちの老化が止まらない日本にとってのヒントにもなる
若い文化の力が台北のまちに刺激を与えています。