さりげない表情の裏に一手間あり

高水の家、天井の仕上工事が始まりました。建主のご要望を受けて、杉板を長手方向に張っています。

一見、登り梁の上に長い板を張っているように見えますが、実際には、登り梁の間に短い板を一枚一枚嵌め込んでいます。

 

 

大工さんが長い板を短く切っているところ。写真右側にはカットされた板が順番に積み重ねてあります。何気ない写真に見えますが、この順番に重ねておくことがとても重要なのです。

 

 

短くカットした板をカットした順番通りに床に並べていきます。

 

 

天井に貼る順番通りに並べられた杉板

縦一列は元々1枚の板だったものを3つにカットしたもの、天井に貼った時に木目がつながるように配置されています。

杉板はコストを抑えた下地板で、節もあるし、木目や色合いもバラバラです。この荒いだけの板をバラバラに張ってしてしまうと、ただの雑で安っぽい表情にしか見えません。

しかし、荒い表情の板に一定の秩序を与えることで、雑なだけではない流れのある表情が現れます。

 

 

ここまで貼るのに材料の選別や加工で2日、張付工事に3日かかったそうです。普通の板張りに比べるとかなりの手間がかかっているのですが、その手間を感じさせない、なんともさりげない表情に妙味を感じます。

 

 

高水の家 棟上げ

高水の家で棟上げの工事が行われました。

快晴というか、猛暑の中(汗)、木材を組むトントンという木槌の音が周囲に響きます。

 

 

 

棟木の取り付け、30坪の平屋をシンプルな切妻屋根で覆います。

 

 

 

屋根をしっかり支える登り梁を910ミリ間隔で入れていきます。

 

 

 

登り梁と母屋の噛み合わせの部分は遊びが少ないため、組むのにかなり手間を要しましたが、しっかり格子状に組み上がりました。

 

 

 

その上に24ミリ厚の構造用合板を固定して、水平構面を固めています。見るからにがっちりした小屋組で、これなら大地震でもしっかり耐えてくれそうです。

 

 

 

道路側から見た外観

まだ垂木と屋根をつけていないので、シンプルなボックス形状です。幅9mのワイドな開口が開放感を生み出します。

 

 

 

リビングを中から見たところ

ワイドな開口と骨組み表しの空間は最大高さ4.7mで、水平方向にも垂直方向にもゆとりのあるおおらかな空間になります。

 

 

 

無事棟上げが終わり、上棟式が行われました。これから約5ヶ月、工務店と棟梁とともに三人四脚でしっかり工事を進めていきます。

 

 

 

室内から棟部分を見上げると、洒落たスリット状の天窓が現れました。

実際には開いている部分にも合板を貼って天窓はなくなるのですが、工事中に生まれた一瞬の美しい表情です。

 

 

白木の軒天井

児玉神社社務所の軒天井見上げ

棟上げが終わり、耐力壁と金物、断熱材の施工状況の検査を行いました。上の写真は参道に正対する軒下空間を見上げたところ。

柱や梁はヒノキ、屋根の垂木や野地板はスギを使用しています。本殿に対して主張を抑えたすっきりとした構成ですが、白木の肌がなかなか美しいです。

このまま仕上げたいところですが、耐久性を考慮して最終的には茶系の保護塗料で仕上げる予定です。それまで、しばらくの間、ささやかな目の保養になります。

 

 

確かなプライド

妻側から差し込む光によってほのかに浮かび上がる小屋組

江戸時代、幕府の天領となった高山市で、御用商人として栄えた日下部家。明治8年の大火で一旦焼失し、その後に建てられたのは、江戸期の伝統様式を生かした壮観な造りです。

 

 

高山の豪雪から屋根を支える小屋組は格子状に組まれ、赤松の巨木を使った牛梁でしっかりと支えられています。

豪商の財力と飛騨の匠によって生み出された大空間には、うわべの豪華さだけではない確かなプライドを感じられます。

 

 

 

自然と人間の協奏曲

見事なそり具合、まるで日本刀のようなシャープかつ優美な曲線が美しい。  国宝 瑠璃光寺五重塔の屋根改修工事の見学会に行ってきました。70年ぶりとなる令和の大改修では、主に傷んだ屋根の檜皮葺きを葺き替えます。

 

葺替え前の屋根の写真                          茶色い屋根に白く毛羽立ったように見えるのは、檜皮を留めていた竹釘です。檜皮は、樹齢70年以上の生きたヒノキの表面にある樹皮を剥ぎ取ったものでとても貴重なもの。檜皮葺きの寿命は本来25〜30年とのことなので、すでに耐用年数をかなり過ぎており、写真のような状況になるのも無理はありません。

 

葺替えが終わった最上層の屋根                      優美なそりを見せる3次曲面は、自然のままの檜皮を数十万枚重ね合わせ、人間の手仕事によって作り出したものです。

 

葺替えられた屋根を近くから見たところ。                 ランダムにうねる檜皮の表面はまるでざらついた動物の皮膚のようですが、一枚一枚の重ねしろは4分(約12ミリ)にそろえられており、一つの大きな屋根としてみたときにはとてもなめらかで美しい表情となるのです。

ひとつとして同じものがない自然物である樹皮を巧みに組み合わせ、全体として美しい屋根を生み出す、途方もないような匠の技です。それは、最先端のデジタル技術でもなし得ない、自然と人間の協奏曲です。

日本人の培ってきた美意識と技術の奥深さを目の当たりにして、身震いがする思いです。

 

 

手間の蓄積について

大神の家、2階室内の板貼りが進んできました。
 
今日も現場はかなり冷え込んでいますが
大工さんが板の並びを考えながら一枚一枚吟味して丁寧に貼ってくれています。
 
手間を省いて早く仕上げるのが主流の時代ですが
だからこそ手間暇かける仕事には意味があると考えます。
 
すぐに完成する家にはない手間の蓄積は
住むほどに味わいを増してくれることと思います。
 
 

大神の家2 板壁仕上げ

大神の家では室内の板壁仕上げ工事が始まっています。
 
本来下地用に使うヌキ板によるざっくりとした仕上げは
新建材のような表面的なキレイさとは対極的で、ちょっとワイルドです。
 
山小屋のような表情も連想させますが
開口部まわりは意識的にすっきりと納めてもらい
壁が切り取られているイメージをクリアにしています。
 
 
 
 
 
 
開口部の上側は壁勝ちにして窓枠を目立たないように納めています。
 
 
 
 
 
 
逆に開口部の下側はホコリ溜りになりやすいので
超仕上げの板材を枠勝ちにして掃除がしやすいように配慮しています。
 
ざらつきのある壁板との違いがわかるでしょうか?
 
 
 
 
 
 
壁の表情
 
仕上げ用の板ではないので木目も節もラフなところがあり
留めていたバンド部分の日焼け跡もあるがままに使っています。
 
粗めの素材に対し、大工さんの仕事はとても丁寧です。
この粗めと丁寧の掛け算が、常識的な壁とは違う
新しい空気感を空間に与えてくれると期待しています。
 
 

臼杵の家、耐震チェック

先週に引き続き、照明や電気の打合せと耐震調査のため
臼杵の現場に行ってきました。
 
耐震調査ではやや大スパンで特殊な架構となるキッチン部分について
設計通りの強度がとれているか、現地で確認を行いました。
 
 
 
 
 
最初にトラス梁の接合部の仕様や部材の留付けの状態など
構造設計の仕様と現場の施工状況を照合。
 
 
 
 
 
仕様の確認が終わったあとは常時微動の測定です。
以前、櫛ヶ浜の家の耐震調査でも使用した測定器で
実物の建物での固有周期を測定します。
 
 
 
 
梁上に載せた測定器の振動がパソコンでデータ化され
建物の固有周期が測定されます。
 
現段階での固有周期は0.16秒で
新築の平屋部分としては良好な数値でした。
(一般的な木造の新築建物は0.1〜0.5秒)
 
 
 
 
最後に柱や梁など、部材のヤング係数も測定してもらい
耐震調査を終えました。
 
今回はやや複雑な架構になっていましたが
実際の測定により、耐震性が実証できました。
 
 
 

100年単位で考える

        縁あって、見せていただいた住宅の現場。 つくっているのは、錦帯橋の架け替えを手がけた海老崎棟梁。 ローコストと言いながらも、しっかりとした骨組みです。(接合部に注目 … “100年単位で考える” の続きを読む

 

 

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縁あって、見せていただいた住宅の現場。

つくっているのは、錦帯橋の架け替えを手がけた海老崎棟梁

ローコストと言いながらも、しっかりとした骨組みです。(接合部に注目)

 

法律では、住宅の骨組みに10年保証が義務付けられていますが

「そんなもん、瞬きみたいなもんですよ」と棟梁。

そこには、100年単位でものづくりをする技と哲学がありました。

 

2012.9.21 設計事務所 TIME