人と動物、共に暮らす場

大分の臼杵の家が完成して、この秋で3年になります。

最近、猫2匹が家族に加わり、猫用のステップとともに、元々飼っているゴールデンレトリバーの段差昇降用にステップをつけるご相談をいただきました。

現在、猫や犬などを飼っている世帯は日本全体の25%あるとの統計もあり、人と動物が共に暮らすというライフスタイルが当たり前の時代になりました。一方で、農業が主体だった時代には、家の一部に家畜小屋が一体化していたこともあり、必ずしも特別なことでもないのかもしれません。建築的には、岩手の曲がり屋など、ひとつの様式になっているものもありました。

ということで、新たな時代の同居のあり方をイメージしつつ、人も動物も生き生きと暮らせる場を検討中です。

写真はお施主さんから送っていただいたお店の入り口部分ですが、どこか日本離れしていて、ナポリやシシリアの旧市街を想起してしまいました。

経年変化が進みつつある銅板の引戸や杉板の風情がなんとも渋い。      いや、すでに渋すぎです!

設計当初から経年変化を楽しみたいと言われていたお施主さんのご希望だった姿が少しずつ立ち現れていて、今後の変化がまた楽しみです。

 

 

室積の家、1年検査

 
昨年完成した室積の家にて1年検査を行いました。
 
モルタルと板壁を幾何学的に構成した外観は
1年分の経過で少しずつ表情が変化してきました。
 
 
 
 
 
 
モルタルの壁は雨風にさらされ
フラットな大きな壁に濃淡の模様が定着しつつあります。
 
 
 
 
 
 
板壁のほうも庇のある部分とない部分で色の変化が出始めています。
 
建物は丁寧に扱えば100年以上使うことができます。
当然、その間に色合いや質感は変化していきます。
 
人間が年をとるとともに深みを増していくように
建物も自然の営みに従ってありのままに表情を変え
深みを増していけることを願っています。
 
 
 
 
 
 
2階のキッチン
スチールフレームのキッチンカウンターと構造用合板の棚だけの
むき出しのローコストキッチンですが
暮らす人の個性が加わることで暮らしのリアリティが豊かに現れています。
 
今回、暮らしの中での気づきや使い勝手をお聞きして
木製の玄関引戸への戸当たりの取付や庇の雨だれ処理など
いくつかの調整を行うことになりました。
 
建主のお話をお聞きしなら
1年の経過の中で暮らす人と家が少しずつ溶け合って
暮らしのかたちが定着し始めていることを実感できました。