岡山芸術交流4

 
 
 
 
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後楽園にある「流店」
 
後楽園は今回のイベント会場ではありませんが
以前から気になっていた「流店」を見るため足を伸ばしました。
 
2階建ての1階はほぼ完全に吹きさらし、
2階が閉じているため、1階の抜けが強調されていて
これ以上、突き抜けた開放感を感じる建築を他に知りません。
 
 
 
 
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2階は雨戸で閉じてありますが、
なんと! 雨戸の戸袋が建物より外へ飛び出しています。
 
雨戸を開けると間口いっぱいに景色が広がることになります。
是が非でも最高の開放感にこだわった、この空間に賭ける思いが伝わってきます。
 
 
 
 
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「流店」最大の見せ場
建物の中を流水が貫く、実に独創的な趣向です。
 
四方柱だけのシンプルな空間に、水という自然を取り込んだ
明快にして大胆な空間構成です。
 
午後からの日差しが水路に反射し、天井に揺らめく光を移し
静と動、自然と人工、小さい建築と大きな風景が融合する
実に感動的な空間に体が溶けていきそうです。
 
 
 
 

岡山芸術交流3

 
 
 
 
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岡山のまちなかに宇宙からの飛行物体が落下!
駐車場の舗装の割れ方が落下の凄まじさを物語っています。
 
 
 
 
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そうではなくて、あくまでフィクション。
作品のタイトルは「編集は高くつくので」、ライアン・ガンダーの作品です。
 
異次元から飛来したとの設定ということですが
それにしても徹底した表現、本気度満々です。
 
美術館を飛び出して、現実のまちを舞台にした表現に
スケールとリアリティがあふれています。
 
 
 
 
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午前中いっぱい見て回ったところで、近くに見つけたカフェにイン。
 
古い町家を改修したようですが、
後楽園に近いこのエリアは古くからの風情に新しいセンスが加わって
街並みに味わいが増しています。
 
 
 
 
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窓越しに旭川と後楽園にかかる橋、そして青空、
眺めがよく、とても落ち着けるお店です。
 
ここで一服した後、後楽園から岡山城へ
後半戦に臨みます。
 
 
 
 

岡山芸術交流2

 
 
 
 
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岡山県天神山文化プラザ
 
こちらも作品の展示会場になっています。
建物の設計はル・コルビュジエの弟子でもある前川國男。
 
 
 
 
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現代アートもさることながら、この建築にもパワーがあります。
 
現代のように、石やガラス、金属パネルなど仕上材の選択肢が少ない時代に
コンクリートの打放しだけによる見事なまでのデザインと施工精度です。
 
コンクリートの量塊を水平、垂直に分割してメリハリをつけ
壁の奥行きを深くとって陰影のある表情豊かな姿に仕立てています。
 
コンクリートとは思えないほどの細い壁、
そのエッジは剃刀のようにとんがってシャープな姿を見せていて
建築家の表現にかける思いの厳しさが伝わってきます。
 
 
 
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入口部分のピロティ空間
 
黄色に塗られた天井に目が行きますが
よく見ると天井のボードの割付にも工夫が見られます。
床のレンガタイルのパターンといい、漫然とデザインをしていないことがわかります。
建築のあらゆるところで、ひとつたりともおろそかにせず、徹底的に考え抜く。
この建築にて、改めて前川の凄みを感じ入りました。
 
 
 
 

岡山芸術交流1

 
 
 
 
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週末、岡山に行ってきました。
 
今回の目的は、ずばり現代アート。
直島を中心にした瀬戸内国際芸術祭など、
最近中国地方に芽吹き始めたアートな息吹が岡山にも広がりを見せています。
 
岡山市でも、10/9 〜11/27まで現代アートの交流イベントが開催されました。
岡山城や後楽園のある旧城下町エリアの屋外や美術館、学校跡などに
16カ国、31組のアーティストによる作品が点在しています。
 
 
 
 
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最初に訪れたオリエント美術館、
ロバート・バリーによるインスタレーション「Wire sculpture with ring」
吹き抜け空間の中空に小さなリングが3本のワイヤーで固定されています。
 
最高裁判所の設計で知られる岡田信一郎による吹き抜け空間、
その重厚で強い空間に比べると取るに足らないほどの弱々しいの存在ですが、
空間の重心を捉えて、目には見えない秩序と間を生み出しているようにも感じます。
 
 
 
 
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ホセ・レオン・セリーヨの 「Place occupied by zero」
 
中間一貫校だった旧後楽園天神校舎跡の教室を使ったインスタレーション
既存空間にはまったく手を加えず、その生々しい空間の秩序と質感の中に
無関係のディメンションがダイレクトに挿入されるという大胆な構成。
 
既成の空間とのコントラストがとても鮮やかで、
リアルな場の概念に生まれる揺らぎが興味深い。
 
 
 
 
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リアム・ギリックによる 「Development」
 
学校の校庭に現れたパターゴルフ場!
実際にゴルフをすることができる体験型のアートです。
 
グラフィックにレイアウトされたコースには傾斜や曲がりなどがあって意外と集中、
自然とアートの世界にのめり込んでしまいました。
 
 
 
 
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下道基行の「14歳と世界の境」
空き家になった教室に作品がダイレクトに置かれています。
 
美術館のホワイトボックスとは違い、窓の外に岡山の街が広がるリアルな場と
アートがダイレクトにつながって生み出されるスリリングな空間です。
 
 
 
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渡り廊下の窓ガラスに書かれた文章
 
ここでも既存の校舎とアート作品がダイレクトに並置されて
ものすごくリアルで刺激的な空間が現れています。
 
ビジュアル的にも、窓越しに見える街と青空、
そこに重なるグラフィックの文字が生み出す世界がとても美しい。
 
日常の建築が失いかけているパワーや概念を呼び起こしてくれるこのイベント、
刺激的な体験を引き続きレポートしていきます。
 
 
 
 
 

平凡と非凡

        漆黒の中からにじむ淡いツヤめき。 濱中史朗さんの大屋窯でピックアップしたブラックレザーの器です。 適度にゆがんだ渦巻き模様がそのまま形に現れて 平凡と非凡の境が薄ま … “平凡と非凡” の続きを読む

 

 

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漆黒の中からにじむ淡いツヤめき。

濱中史朗さんの大屋窯でピックアップしたブラックレザーの器です。

適度にゆがんだ渦巻き模様がそのまま形に現れて

平凡と非凡の境が薄まったところが好感です。

 

2013.5.6 設計事務所 TIME

 

鹿野散歩

        砂紋が広がるその中心に渦巻くように刺さる石組み。 まるで、遠心運動を続けているような動きのある表現は 重森三玲の作です。 鹿野の漢陽寺にはこの他にも三玲による作庭が … “鹿野散歩” の続きを読む

 

 

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砂紋が広がるその中心に渦巻くように刺さる石組み。

まるで、遠心運動を続けているような動きのある表現は

重森三玲の作です。

鹿野の漢陽寺にはこの他にも三玲による作庭が残っており

見ごたえのあるパワースポットになっています。

 

2013.2.6 設計事務所 TIME

祈りの場

        京都造形芸術大学で行なわれているインスタレーション、 「18800 pieces 2012.6.13」 周南市の道の駅の設計も手がけられている内藤廣氏による作品です … “祈りの場” の続きを読む

 

 

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京都造形芸術大学で行なわれているインスタレーション、

「18800 pieces 2012.6.13」

周南市の道の駅の設計も手がけられている内藤廣氏による作品です。

東日本大震災で亡くなられた方と行方不明の方の数である18800の数を

ガラスピースのモザイクで表現しています。

外光にうっすらと光るガラスが作り出す時空間は

まさに祈りの場としての静謐さを持っていました。

 

2013.1.16 設計事務所 TIME

 

 

風化

        あぶり出しのように浮き上がる Fanta の文字。 まさに風化によって起こった化学変化。 造られた感じがないのが結構好きですが・・・   2012.12. … “風化” の続きを読む

 

 

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あぶり出しのように浮き上がる Fanta の文字。

まさに風化によって起こった化学変化。

造られた感じがないのが結構好きですが・・・

 

2012.12.11 設計事務所 TIME

再び高松

        連休に高松の瀬戸内生活工芸祭へ。 ぐずついた天気にもかかわらず、大変な盛況ぶり。 2日間を通じて、アートや工芸、雑貨、 そしてゆったりとした時間を堪能です。 &nb … “再び高松” の続きを読む

 

 

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連休に高松の瀬戸内生活工芸祭へ。

ぐずついた天気にもかかわらず、大変な盛況ぶり。

2日間を通じて、アートや工芸、雑貨、

そしてゆったりとした時間を堪能です。

 

2012.11.26 設計事務所 TIME

アーキテイルズ展

        山口の旧市街地で行なわれているアーキテイルズ展。 材木屋の倉庫と現代アートが一体化したような空間です。 右側のノッポの男性がアーティストの笹原晃平さん。 ひさしぶり … “アーキテイルズ展” の続きを読む

 

 

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山口の旧市街地で行なわれているアーキテイルズ展。

材木屋の倉庫と現代アートが一体化したような空間です。

右側のノッポの男性がアーティストの笹原晃平さん。

ひさしぶりに頭の中がスカッとする表現のできる人に出会いました。

 

アーキテイルズ展は10月7日まで

http://www.doafront.org/news.php

 

2012.10.2 設計事務所 TIME