HM養成講座、今回は構造対策について学びました。
まず、櫛ヶ浜の家の改修でも構造解析をお願いした
グリーンデザインオフィスの岩田さんから、
改修事例にもとづいた実践的な講義をいただきました。
特に強調されていたのが、建物の耐震性を考える場合は
上物だけでなく地盤と一緒に考えることの重要性について。
櫛ヶ浜の家でもそうでしたが
昔の家は大した基礎がなく、地面の上にそのまま建っているケースが多いのですが
地盤が弱い場合には、その影響を大きく受けてしまいます。
そのため、しっかり踏んばれるように
強固なコンクリートの基礎を設けることが重要になります。
午後からは、関西大学の西澤英和教授からの講義。
ここでも、いかに地盤対策が大事かについて神戸の地震をもとに
説明をいただきました。
これは、阪神淡路大震災での活断層と被害の集中した地区を示した図。
(赤い破線が活断層、グレーで囲われた範囲が被害集中地域)
この図によると
実際に被害が大きかったのは活断層付近ではなく
それより海寄りの軟弱地盤の土地だったそうです。
建物被害については
震度の大きさだけでなく、地盤の影響が大きいことがわかります。
これは被害が大きかった三宮にある神戸15番館の倒壊した様子。
建物が跡形もなく崩れています。
15番館の基礎を実測調査すると、
南北方向に455ミリ、また、上下方向に309ミリも動いたそうです。
140㎡ほどのさほど大きくない建物でこれほど地盤が動くのだから
建物の強度だけでは、到底大地震にはかなわないということがわかります。
私のメモにあるように
いかに地盤の動きを上物(建物)に伝えないようにするかが重要となります。
建物の硬さや強さだけでは、必ずしも建物は守れないこと、
建物の構造にふさわしい構造対策を取ることが大事であることが示されました。
それが次の動画です。
(実物大の建物を実験室内に建てて、地震動を与えてその影響を検証するものです。)
耐震性のやや低い在来構法の建物(手前)と長期優良住宅(奥)を同時に揺らしたところ、
強いはずの長期優良住宅が倒壊してしまったのです。
在来構法の建物は揺れの最初に一瞬足元が浮き上がりますが
それによって地震の力を逃がすことによって倒壊が免れたと考えられます。
建物の構造対策を考える場合、
建物の硬さや強度などの性能ばかりに目が行きがちですが
木造が本来持っている復元力のある柔軟な構造こそが大事になるそうです。
地盤対策と木造の柔軟な構造、
意外と知られていない構造のポイントを学ぶことができました。
このポイントを、今後の設計にもしっかりと活かしていきたいと思います。