臼杵の家
category: house
location: 大分県臼杵市
site area: 385m²
floor area: 139m²
completion: 2021.10
お菓子の家を作ることになった。
といっても、童話に出てくるような本物のお菓子でできているわけではない。ごくごく普通の木造だが、ご主人の作るお菓子のように、地の素材を使った丁寧な仕事や繊細な造形にこだわり、無垢の木やしっくい、モルタルなどの素材を丁寧に、そしてシンプルに作ってもらうことで現れる「味わい深さ」を大切にした。
敷地は大分県臼杵市の古いまち並みが残る地区にある。まちには、戦国時代に大友宗麟が居城を築いて以来の歴史あるまち並みが残っている。この家は、まちに溶け込むように屋根の形や高さ、軒の深さ、建物のスケール感、仕上げの素材などを吟味し、趣あるこのまちと共鳴することを意識している。
住まいは、中庭を挟んで道路側にカフェとしても活用可能なダイニング、反対側にリビングや寝室と水回りを配している。地域の広場に面するこの家で、日々の暮らしやご主人のつくるお菓子を通して、地域に溶け込みつつ、新たな刺激が加わることで、地域を越えて交流が広がる拠り所になることを期待している。